第1139回 どん底からの再出発、ノルウェー戦(2) 22人の通算代表試合出場数はわずか99試合
■現役時代のポジションはストッパーのローラン・ブラン監督
ストッパーにフィリップ・メクセスが戻ってきたローラン・ブラン監督率いる新生フランス代表であるが、メクセス以外の守備陣は経験の少ない選手が選ばれた。メクセスを含み7人が選出されたが、フランス代表経験のあるのはレンヌのロッド・ファンニだけである。ファンニも代表歴は4試合だけである。メクセスとともにストッパーを組むと思われるのはリールのアディル・ラミ、またパリサンジェルマンの20歳の若手ママドゥ・サコが想定される。メクセスについても、現役時代同ポジションであったブラン監督の評価は厳しく、まだ国際レベルではなく、練習を積んでコンディションをあげることが必要であると指摘している。
それ以外のメンバーはリヨンのアリー・シソッコ、リールのマチュー・ドビュッシー、ボルドーのブノワ・トレムリナスであり、代表経験のあるメクセスとファンニが28歳でそれ以外の代表出場経験のない5人は24歳以下という若い陣容である。
■病気から復帰したラッサナ・ディアラ
守備的MFには大きな存在が加わった。病気により南アフリカ行のメンバーから外れたラッサナ・ディアラである。ラッサナ・ディアラの離脱が南アフリカでは守備的MF1人で戦うことを余儀なくされ、チームの構成を大きく狂わせた。ラッサナ・ディアラには精神的支柱としても期待したいところであり、復調が望まれる。それ以外のメンバーは代表戦2試合出場のトゥールーズのムッサ・シソッコ、代表初招集となるレンヌのヤン・エムビラとサンテエチエンヌのブレーズ・マツイディである。
攻撃的MFにはアーセナル(イングランド)のサミール・ナスリが復活、守備的MFもこなすことのできるリールのヨアン・カバイエ、イングランドのウィガンで活躍するシャルル・エンゾグビアが名を連ねた。
■カリム・ベンゼマ、ハテム・ベンアルファを擁する攻撃陣
そして攻撃陣は人材がそろった。マルセイユのハテム・ベンアルファ、レアル・マドリッド(スペイン)のカリム・ベンゼマ、リヨンのジミー・ブリアン、ニースからプレミアリーグのストークシティへの移籍がささやかれているロイック・レミーと代表経験のある選手が4人いる。彼らが選にもれたことはフランスの人材の豊富さを物語っている。それ以外には、パリサンジェルマンで今季のフランスカップ獲得に大きく貢献したギヨーム・オラオ、23歳と若いがASローマ(イタリア)でメクセスのチームメイトであるジェレミー・メネスがメンバー入りした。
■ブラン監督1人の代表試合出場数とほぼ同じ22人合計の代表試合出場数
22人のメンバーのうちフランス国内のクラブに所属している選手が16人、国外のクラブに所属している選手が6人(イタリア2人、イングランド2人、スペイン2人)となった。また年齢的には15人が25歳以下という若い選手の集団であり、30歳以上の選手は前回の本連載で紹介したレンヌのGKニコラ・ドゥーシェただ1人である。
また22人中代表での出場歴がある選手はわずか9人、残り13人は代表歴のない選手である。ただし、GKを除くと各ポジションには経験のある選手が1人ずついる。代表歴が2ケタの選手はDFではメクセスが13試合、守備的MFではラッサナ・ディアラが27試合、攻撃的MFではナスリが15試合、FWではベンゼマが27試合という具合である。
しかし、代表での試合に出場したことがある選手は22人中わずか8人、そして彼らの出場数を合計してもわずか99にしかならない。ティエリー・アンリなど3ケタの代表歴を誇る選手がいることを考えると信じられない数字である。ちなみに前任のレイモン・ドメネク監督の第1戦は2004年夏のボスニア・ヘルツェゴビナ戦であったが、21人の選手の代表試合出場数の合計は365であった。ましてや当のブラン監督自身97キャップを誇っているわけであり、監督1人の代表試合出場数と、22人のメンバーの代表試合出場数がほぼ同じというメンバーでブランのフランスは始動するのである。(続く)