第1140回 どん底からの再出発、ノルウェー戦(3) 予選敗退後好調なノルウェー
■グループ2位ながらプレーオフに出場できなかったノルウェー
招集した22人の代表での出場試合数を合計しても99にしかならないという経験の浅いメンバーで構成される今回のフランス代表、それでも相手のノルウェーはワールドカップに出場していないから組みしやすし、と見る方も少なくないであろう。
しかしそれは間違いである。今回のワールドカップ予選でノルウェーはオランダと同じグループ9に入った。このグループ9は変則的であり、5チームしかなかった。このグループでノルウェーは本大会の決勝まで全勝を記録したオランダに2敗した以外は2勝4分と負けなしの成績で2位に入る。ところが、この2勝4分2敗という成績は他の8グループの2位チームよりも悪く、唯一プレーオフに出場できない2位チームとなってしまったのである。もちろん、2位チームのプレーオフ出場については6チームのグループの場合は最下位チームとの対戦をカウントしないということで公平性が担保されているが、ノルウェーがプレーオフ組のフランスとはほぼ同等の結果であったことは事実である。
■予選以降、3つの本大会出場国に勝利したノルウェー
また、ノルウェーは他国よりも1月早く、プレーオフ出場国より2月早くワールドカップ予選を終えているが、予選以後5試合親善試合を行い、ウクライナに負けただけで、南アフリカ、スイス、スロバキアというワールドカップ出場国とモンテネグロに勝利し、4勝1敗という成績である。
かたやフランスは、ワールドカップ予選後の親善試合は、ワールドカップ出場国とはスペインと戦っただけで完敗、それ以外はワールドカップ予選で姿を消した国3チームと対戦し、1勝1分1敗という成績である。そしてワールドカップ本大会での成績は1分2敗、つまりワールドカップ予選後の成績は1勝2分4敗と無残な成績である。世界ランキングこそ、フランス21位、ノルウェー22位とフランスが上位にあるが、勢いは完全にノルウェーにある。また、今回の親善試合に向けてのメンバーもフランスより1週間早く発表し、9月からの欧州選手権予選への準備も怠りない。
■ベロドロームでファーストゴールを記録した現監督のローラン・ブラン
フランスはノルウェーとこれまでに14回対戦している。通算成績はフランス6勝、ノルウェー4勝、4つの引き分けである。最初の対戦は1922年のことであり、この時はノルウェーが7-0と大勝している。
直近の対戦は1998年2月にマルセイユで行われた親善試合である。ワールドカップ開幕を控えて新装なったベロドローム競技場で行われた試合はワールドカップ予選を勝ち抜いたノルウェーを招き、点の取り合いとなったが、ロスタイムに、マルセル・デサイーのゴールでフランスが追いつき、3-3のドローであった。
この試合、13分にノルウェーが先制するが、フランスは23分にユーリ・ジョルカエフのCKをベルナール・ディオメドがつなぎ、ローラン・ブランがヘディングシュートし、同点に追いつく。つまり、フランスサッカーの第2の聖地ともいえるベロドローム競技場におけるフランス代表のファーストゴールは現在の代表監督のブランが記録している。ちなみにスタッド・ド・フランスのファーストゴールはジネディーヌ・ジダンがこけら落としのスペイン戦で記録している。
■直近の3試合はいずれも引き分け
その前の対戦は1995年にオスロで行われた親善試合、0-0のスコアレスドローであったが、この試合でフランク・ルブッフ、クロード・マケレレが代表にデビューしている。
さらにさかのぼると両国とも本大会出場を逃した1990年のワールドカップ・イタリア大会予選で同じグループに入っている。この時は1988年9月にホームでフランスが勝利し、1989年9月にアウエーで引き分けている。したがって、両チームの直近の対戦は3試合連続で引き分けであり、そろそろ雌雄を決したいところである。(続く)