第1355回 アフリカ選手権決勝トーナメント(1) ベスト4はコートジボワール、ザンビア、マリ、ガーナ
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■共同開催の開催国に有利な日程
前回の本連載は記録的な寒波に襲われたフランスでサッカーの試合が何試合か延期になったことを紹介したが、また今回から赤道直下で争われているアフリカ選手権の模様を紹介しよう。アフリカ選手権はグループリーグを終え、2月4日からは決勝トーナメントとなる。決勝トーナメントに進出した国は前々回の本連載で紹介したとおり、ザンビア、赤道ギニア、コートジボワール、スーダン、ガボン、チュニジア、ガーナ、マリという顔ぶれである。
今回はガボンと赤道ギニアという陸続きの国での共同開催であるが、決勝トーナメントの組み合わせは共同開催ならではの形式となった。グループリーグはグループAとグループBが赤道ギニアで行い、グループCとグループDはガボンで行った。決勝トーナメントの初戦である準々決勝はグループAから勝ち上がったチームはグループBから勝ち上がったチームと赤道ギニアで2月4日に戦い、グループCとグループDの勝ち上がりチームは2月5日ガボンで戦う。つまり、準々決勝までは国を移動することがないようになっている。
また、準決勝に関しては、開催国である赤道ギニアが所属しているグループAの首位チームの戦うブロックは赤道ギニアで、一方の開催国であるガボンの所属しているグループCの首位チームの戦うブロックはガボンで戦い、開催国がグループリーグで首位になれば準決勝までは自国で戦うことができる。そして決勝はガボンで行い、3位決定戦は赤道ギニアで行われる。
■初出場の開催国赤道ギニア、準々決勝で敗退
このように開催国が有利になるように設計された日程であるが、赤道ギニアは2位通過にとどまった。赤道ギニアは準々決勝でコートジボワールと対戦した。コートジボワールはグループBを3戦全勝、無失点で勝ち抜いてきた。アフリカ選手権は1992年を最後に優勝から遠ざかっているが、世界ランキングは18位、アフリカの中では最上位にあり、そのランキング通りの力を見せている。ギニア湾に浮かぶビオコ島にある首都マラボで赤道ギニアはコートジボワールに挑戦する。しかし、今大会最大のスターであるディディエ・ドログバに2点奪われ、さらにヤヤ・トゥーレに3点目を決められて、0-3と沈黙するが、初出場で決勝トーナメント進出は称えられるべき結果である。
そして赤道ギニアをおさえてグループAの首位となったのがザンビアである。ザンビアはスーダンと対戦、前半に1点先制、後半に入ってスーダンの選手が2枚目のイエローカードで1人少なくなってから2点を奪い、コートジボワール同様に3-0というスコアで準決勝に進出した。
■ガボン、PK戦でマリに敗れる
翌日の2月5日、ガボンで準々決勝2試合が行われた。ガボンは目論見通り首位でグループリーグを通過する。ガボンも赤道ギニア同様、首都で準々決勝を戦う。ガボンの首都リーブルビルはかつてガボンという地名だったが、フランスの統治下に入った際に自由都市という名のリーブルビルと改名される。アフリカ大陸で数少ないフランス語のみが話される都市である。マリとの戦いはガボンが先制したが、85分にマリに追いつかれ、延長戦でも決着がつかず、PK戦となる。かつてのフランス代表のPKの名手アラン・ジレス率いるマリは5人全員が成功し、ガボンもまた準々決勝で姿を消したのである。
■フランス組が活躍したガーナ-チュニジア戦
そして準々決勝最後の試合はガーナとチュニジアという常連国の対戦となり、フランスのクラブに所属する選手が全得点をあげた。この試合、先制点はガーナ、リヨンのジョン・メンサーが9分にゴールネットを揺らす。追うチュニジアは41分にエビアンのサベール・カリファが同点ゴール。その後両者譲らす、試合は延長戦へ。延長戦で決勝点をあげたのはフランスリーグの選手であった。マルセイユのアンドレ・アイェウが延長前半の100分にゴールを決める。ガーナはアンドレ・アイェウの父アベディ・ペレが獲得した1982年以来の優勝を目指すのである。(続く)