第1426回 ロンドンオリンピック間もなく開幕(3) ロスアンジェルス以降、本大会出場はわずか1回

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■若手の大会では好成績を残していないフランス

 サッカーにおいて実質的にプロが解禁された最初の大会となる1984年のロスアンジェルスオリンピックで金メダルを獲得したフランス、若手育成には定評があるが、必ずしも若手の大会ではよい成績を残していない。20歳以下の代表で争われるワールドユースも1977年の第1回大会に出場してから1997年大会までは本大会に出場できなかった。
 オリンピックも同様であり、アマチュア時代は東欧の壁はあったものの、2回に1回のペースでフランスは本大会に出場していた。1984年にプロが解禁となり、1992年のバルセロナオリンピックからは23歳以下の選手によって争われる大会となり、ワールドカップとワールドユースの中間的な位置づけになった。
 しかし、フランスは1988年ソウルオリンピック、1992年バルセロナオリンピックと本大会出場を逃す。2大会連続してオリンピックに出場できなかったのは初めてのことである。

■1996年アトランタオリンピックに12年ぶりに出場

 ようやくフランスがオリンピックの舞台に戻ってきたのは1996年のアトランタオリンピックである。この年の春にスペインで行われた21歳以下の欧州選手権でフランスは3位になり、欧州から出場できる5か国の中に入り、アトランタ行きを決める。
 1973年以降生まれの選手で構成されたフランス代表の主要メンバーであるが。主将はGKのリオネル・レティジ、守備陣にはバンサン・カンデラ、パトリック・ビエイラ、そして中盤より上に人材が集まり、クロード・マケレレ、ロベール・ピレス、フローリアン・モーリス、オリビエ・ダクール、トニー・ベレルなど後に代表でも活躍する選手がそろっていた。

■準々決勝で延長戦の末ポルトガルに敗れる

 日本がマイアミの奇跡を起こす前日の6月20日にフランスは豪州とマイアミのオレンジボウルで対戦、2-0と幸先の良いスタートを切る。第2戦は欧州のライバルスペイン、ラウルが中心のチームであり、先の21歳以下欧州選手権では準優勝したチームであるが、スペインと引き分け、グループリーグ最終戦のサウジアラビア戦に勝利し、得失点差でスペインをおさえてグループ首位で決勝トーナメントに進出する。ところが決勝トーナメントの初戦の準々決勝でポルトガルと対戦、延長戦までもつれ込んだ試合はイエローカード11枚、レッドカード1枚が飛び交い、フランスは最後にPKを与えてしまい、1-2で敗れてしまう。

■21歳以下欧州選手権の予選で敗退、オリンピックの2年前に夢消える

 それ以来フランスはオリンピックの前にある21歳以下欧州選手権で上位に残ることができず、オリンピックから遠ざかっている。
 今回はサッカーが104年前に正式競技として認められたロンドンの地でのオリンピック開催である。そして、今回のオリンピックは4年後の地元開催の欧州選手権につながるはずであるが、フランスは早々にオリンピック出場の道を絶たれている。
 ロンドンオリンピック予選は前々回の本連載で紹介したとおり、2011年6月にデンマークで行われた21歳以下欧州選手権で上位3チームに出場権が与えられる。今回のオリンピックが欧州で行われ、開催国の英国に出場権が与えられることから、欧州の割り当て数は少なく、狭き門になった。
 しかし、フランスがロンドンへの海峡を渡ることができなかったのはこのデンマークでの戦いではない。実はフランスはこの21歳以下欧州選手権の本大会に出場できず、予選で姿を消してしまっていたのである。21歳以下の欧州選手権予選は10グループに分かれ、2009年3月から2010年9月にかけて行われた。フランスはグループ8に入り、ウクライナ、ベルギー、マルタ、スロベニアと同じグループになる。フランスはこの5チームの中で3位に終わり、デンマークでの本大会に出場することもできず、ロンドンオリンピックの2年前にオリンピックへの道が断たれた。フランスは2000年のシドニーオリンピック以来4大会連続でオリンピック出場から遠ざかっているのである。(続く)

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