第1438回 ディディエ・デシャンの新生フランス(1) 22人の代表発表、欧州選手権と半数を入れ替え

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■他の団体球技がロンドンで大躍進

 前回までの本連載で紹介したとおり、ロンドンオリンピックの団体球技にはフランスから5つのチームが参加し、男子に関してはハンドボールが北京大会に次いで連覇を果たし金メダルを獲得し、バスケットボールも初戦でドリームチームの米国に迫り、決勝トーナメントではドローに恵まれず、準優勝したスペインに準々決勝で敗れたが、大いにフランス人を熱狂させた。
 そしてこれまで団体球技ではよい成績を残せなかった女子に関しては出場した3チームが素晴らしい成績を残した。ハンドボールは男子バスケットボール同様、決勝トーナメントの組み合わせに恵まれず、準々決勝でモンテネグロに1点差で敗れたが、バスケットボールは決勝に進出し、米国に敗れたものの銀メダルを獲得、フランス女子の団体球技史上初のメダルとなった。そしてサッカーはこれらの中で一番注目度は低かったが、グループリーグから3位決定戦までの6試合すべてで相手よりシュート数が多く、ほとんどの時間帯で相手を圧倒し、試合に勝って勝負に負けたが、4位という成績以上の印象を残した。

■欧州選手権でチームの内紛、スペインに惨敗

 一方、男子サッカーは欧州選手権では2年前の南アフリカのワールドカップでの再現となるチームの内紛がおこり、グループリーグは突破したものの、優勝したスペインの前に簡単に敗れ去った。同じ準々決勝敗退といってもロンドンでの女子ハンドボールや男子バスケットボールが大いに国民を盛り上げたのとは対照的であった。
 昨年のラグビーのワールドカップ以降、フランスの団体球技の国際大会での予想外の活躍が続く中、男子サッカーだけが予想通りの成績しか残すことができないでいる。また、主力のサミール・ナスリは3試合出場停止、ジェレミー・メネスは1試合出場停止、ハテム・ベンアルファも出場停止にはならなかったものの、信頼を失っている。

■新監督ディディエ・デシャンへの期待

 そのような中で新監督に就任したのがディディエ・デシャンである。卓越したリーダーシップの持ち主にフランスのサッカーファンは期待している。
 デシャン監督の初陣は8月15日に行われるウルグアイとの親善試合である。南米の古豪相手のこの一戦、デシャン監督は9日に22人のメンバーを発表した。
 GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダの2人、DFはガエル・クリシー、マチュー・ドビュッシー、パトリス・エブラ、ローラン・コシエルニー、マプー・ヤンガ・エムビワ、クリストフ・ジャレ、ママドゥ・サコ、ラファエル・バランの8人である。MFはマルバン・マルタン、ブレーズ・マツイディ、マキシム・ゴナロン、リオ・アントニオ・マブーバ、マチュー・バルブエナ、エチエンヌ・カプーの6人、FWはカリム・ベンゼマ、ジミー・ブリアン、オリビエ・ジルー、バフェタンビ・ゴミス、ディミトリ・ペイエ、フランク・リベリーの6人である。

■ほぼ半数が入れ替わり、初招集は3人

 欧州選手権のメンバーとはほぼ半数が入れ替わった。欧州選手権のメンバーで外れたのは、GKはセドリック・カラッソ、第3GKという立場にあり、親善試合で外れるのはやむを得ないであろう。DFはアントニー・レベイエール、フィリップ・メクセス、アディル・ラミの3人、フランスの弱点であるストッパーから2人が外れている。MFは大幅に入れ替わり、ナスリ以外にヨアン・カバイエ、フローラン・マルーダ、アルー・ディアラ、ヤン・エムビラがリストから漏れた。FWに関してはベンアルファとメネスが外れている。
 一方、欧州選手権には出場しなかったメンバーが10人加わった。DFはヤンガ・エムビワ、ジャレ、サコ、バランの4人、サコは代表歴があるが、ヤンガ・エムビワは代表招集歴はあるが試合に出場したことはなく、ジャレとバランは代表初招集である。MFはゴナロン、マブーバ、カプーが加わり、28歳のマブーバは実に5年ぶりの代表招集、カプーは代表初招集である。FWはペイエ、ブリアン、ゴミスが加わった。ブリアンとペイエはローラン・ブラン時代の初期以来2年ぶりの代表復帰、27歳のゴミスは昨年10月の以来の復帰となったのである。(続く)

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