第1563回 フランス代表、南米遠征(2) 国外の日程を勘案して選んだ23人
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ワールドカップ前のスカウティング目的の南米遠征
フランスにとって今回のウルグアイ、ブラジルとの対戦は12年ぶりの南米での試合である。さらに、ウルグアイ、ブラジルと転戦するわけだが、このように複数国を転戦するツアーは2年前の東欧遠征(ベラルーシ、ウクライナ、ポーランド)以来のことであり、南米ツアーは1977年のアルゼンチン、ブラジルを転戦して以来36年ぶりのことである。2年前はその翌年にウクライナとポーランドで共同開催される欧州選手権、36年前は翌年にアルゼンチンで開催されるワールドカップのそれぞれのスカウティングが目的であったことは自明である。
■日程終了が遅いスペインのリーガエスパニョーラ
今回の南米遠征はフランスがワールドカップ予選で他のグループよりのチーム数が少ないグループIに所属しているから実現できたと言えるであろう。しかし、このグループIに所属しているからこそ、フランス代表の招集には課題もあったのである。
グループIはフランス以外にスペイン、ベラルーシ、フィンランド、グルジアの5チームからなるが、天候の影響で冬場に試合消化が難しいフィンランドがらみ以外のカードは6月上旬のインターナショナルマッチデーには行われない。この恩恵を受けたのがフランスであり、スペインである。フランスはリーグ戦は5月26日に終了し、6月1日のフランスカップの決勝でシーズンオフを迎える。そして代表チームはワールドカップ予選は9月まで予定されておらず、6月上旬のインターナショナルマッチデーに親善試合を行う。
一方、スペインは6月下旬からブラジルで開催されるコンフェデレーションズカップに出場する。すなわち、シーズンオフに入ったばかりのところで国際試合を経験することができる。したがって6月初めに無理に親善試合を組むことなく、6月15日に開幕するコンフェデレーションズカップに合わせてスペインからブラジルへの移動の際にトランジットする米国で、6月8日にハイチ戦(マイアミ)、11日にアイルランド戦(ニューヨーク)を行う。フランスのウルグアイ戦(6月5日)、ブラジル戦(6月9日)に比べて2、3日遅い日程である。これはコンフェデレーションズカップに出場するスペインは、カップ戦については5月17日に決勝が行われているが、国内リーグの最終節が他国よりも遅く、6月1日がリーグ最終節である。
■リーガエスパニョーラの終了を待たずに旅立ったフランス代表
欧州域内で試合を行う場合でも6月1日に所属クラブで試合を行い、6月5日に代表で試合をするというのは難しいことであるが、今回は代表の試合がフランスから遠く離れた南米である。フランス代表の一行は6月1日にパリ近郊のブルジェを旅立ち、6月2日に最初の試合地であるウルグアイのモンテビデオに到着するという日程である。
このような事情もあり、フランス代表にはスペインのクラブから招集されたのはレアル・マドリッドのカリム・ベンゼマ、バレンシアのアディル・ラミとジェレミー・マチューだけであり、チームに遅れて合流する。スペインのクラブに所属するレアル・マドリッドのラファエル・バラン、バルセロナのエリック・アビダルは招集されなかった。
また、ドイツカップの決勝も6月1日でありバイエルン・ミュンヘンがシュツットガルトを下したが、バイエルン・ミュンヘンのフランク・リベリーも南米遠征から外れた。
■フレッシュなメンバーを数多く含むフランス代表
このような日程の関係もあり、23人の遠征メンバーはGKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ステファン・ルフィエの3人、DFはマチュー・ドビュッシー、ローラン・コシエルニー、ママドゥ・サコ、エリアキム・マンガラ、ジェレミー・マチュー、アディル・ラミ、バカリ・サーニャ、ブノワ・トレムリナスの8人、MFはヨアン・カバイエ、エチエンヌ・カプー、ヨアン・グルクフ、クレマン・グルニエ、ジョシュア・ギラボギ、ブレーズ・マツイディ、マチュー・バルブエナ、ディミトリ・ペイエの8人、FWはカリム・ベンゼマ、オリビエ・ジルー、バフェタンビ・ゴミス、アレクサンドル・ラカゼットの4人となる。4人が代表出場歴なし、それ以外の7人が代表出場歴10回以下というフレッシュなメンバーになったのである。(続く)