第1565回 フランス代表、南米遠征(4) 不本意な結果の続くフランスとウルグアイ
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■昨年の対戦以降のウルグアイの戦績は1勝2分5敗
フランスとウルグアイは過去4試合がいずれもスコアレスドロー、この対戦で最後にゴールを奪ったのは、フランス側は1985年のジョゼ・トゥーレ、ウルグアイ側は1966年のフリオ・コルテスまでさかのぼらなくてはならない。
フランスは今年になってからドイツとスペインに敗れ、グルジアに勝利しているだけであり、1勝2敗と負け越している。一方のウルグアイであるが、昨年夏にフランスと引き分けてからの成績は非常に厳しいものがある。ワールドカップ南米予選を戦っているが、9月にはコロンビアにアウエーで敗れ、エクアドルとホームで引き分けている。10月にはいずれもアウエーでアルゼンチン、ボリビアに大敗、11月にようやくポーランドに勝利するがこれはあくまでも親善試合。2月にはカタールのドーハでスペインとの親善試合で敗れ、3月はホームでパラグアイと引き分け、アウエーでチリに敗れている。このようにワールドカップ予選では6位まで順位を落として迎えたのがフランス戦である。
■フランスは7戦連続、ウルグアイは8戦連続で失点
ウルグアイ、フランスとも失点が多く、ルアーブルでのスコアレスドローの後、ウルグアイは8戦連続で失点、フランスはウルグアイ戦の次のフィンランド戦で完封したのが最後で、7戦連続で失点。ルアーブルでの戦いの後の戦績は、ウルグアイは1勝2分5敗、フランスは4勝1分3敗と両チームともとても本調子とは言えない。ウルグアイ6月5日のフランス戦が終わると11日にはワールドカップ予選のアウエーのベネズエラ戦、さらに南米チャンピオンとしてブラジルで6月15日に開幕するコンフェデレーションズカップに出場する。ウルグアイとしては久しぶりに欧州のチームをホームに迎え、昨年来の悪い流れを断ちたいところである。
■35年間南米大陸で勝利していないフランス
欧州のチームにとって南米は難しいところである。フランスは12年前のチリ遠征では1-2と敗れているが、フランスが南米の地での勝利は1978年のワールドカップアルゼンチン大会のことである。アルゼンチン、イタリアに敗れて一次リーグ敗退が決まった後のハンガリー戦が最後であり、実に35年間南米大陸での勝利がない。そして南米の国相手にアウエーで勝利したのはわずか2回、1971年のアルゼンチン戦と1972年のコロンビア戦のみで通算成績は2勝3分5敗と大きく負け越している。
■第1回ワールドカップ決勝の舞台、センテナリオ競技場
南米の古豪ウルグアイが初めてフランスを迎える。両国にとってこれまでウルグアイの地で試合をしたことがなかったことを意外に思われる方は多いであろう。舞台はモンテビデオのセンテナリオ競技場、1930年にウルグアイの憲法発布100周年を記念して建造され、第1回ワールドカップの決勝が行われた聖地である。第1回ワールドカップは売木愛で開催されたが、モンテビデオ市内の3つの競技場で行われた。フランスは87年前のワールドカップでは記念すべき開幕戦に出場し、モンテビデオ市内のポシトス競技場でメキシコに勝利し、歴史に残る大会初勝利を記録している。第2戦は強豪アルゼンチン、この試合は中央公園競技場で行われ、フランスは終盤に失点してしまう。グループリーグ最終戦のチリ戦をこのセンテナリオ競技場で試合を行い、0-1と敗れ、グループリーグで敗退してしまった。側そのワールドカップ以来となるウルグアイの地、フランスとの時差は5時間である。南半球は冬になり、キックオフは日暮れ前の16時、フランス時間では21時とゴールデンアワーになるが、テレビ観戦者だけではなくスタジアムでの観戦者や実際にプレーする選手にとっても好都合なキックオフ時刻になる。フランス代表のメンバーは試合前にはホテルの裏にある海岸を散歩し、リラックスした中で満員の観衆の待つセンテナリオ競技場へと向かったのである。(続く)