第1566回 フランス代表、南米遠征(5) フランス、ウルグアイに完封負け
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■110年以上の歴史を誇る両国の代表チーム
ウルグアイ代表の歴史はフランスよりも古く1901年にアルゼンチン代表と初めての国際試合を行っている。フランス代表の最初の国際試合は1904年のベルギー戦であり、両国とも110年以上の歴史を誇るが、初めてのウルグアイでの試合となる。モンテビデオのセンテナリオ競技場は100年以上の歴史で初めてフランスがウルグアイと対戦するとあって4万5000人のファンで埋まった。
■全員が国外、9人が欧州のクラブに所属するウルグアイ
南米のチームが南米で欧州の代表チームと対戦することが少ないことはすでに紹介したとおりであるが、これは地理的な条件に加え、南米の代表チームの選手のほとんどが欧州のクラブに所属しているからである。
このフランスとの試合での先発メンバーを見るとGKフェルナンド・ムスレラ(トルコ:ガラタサライ)、DFディエゴ・ルガーノ(スペイン・マラガ)、マルティン・カセレス(イタリア:ユベントス)、セバスチャン・コアテス(イングランド:リバプール)、MFアルバロ・ぺレイラ、ワルテル・ガルガーノ(以上イタリア:インテルミラノ)、マキシ・ぺレイラ(ポルトガル:ベンフィカ)、エギディオ・リオス(イタリア:パレルモ)、ニコラス・ロデイロ(ブラジル:ボタフォゴ)、FWディエゴ・フォルラン(ブラジル:インテルナシオナル)、エディンソン・カバーニ(イタリア:ナポリ)と全員が国外のクラブに所属し、11人中9人が欧州のクラブに所属している。
■フレッシュなメンバーをちりばめたフランス
一方のフランスであるが、ディディエ・デシャン監督はこの南米遠征の2試合は2人のGKを使うことを表明、このところ主将を務めていることもありウーゴ・ロリスがGKを務めていたが、スティーブ・マンダンダを起用する。DFラインは思い切ってメンバーを一新する。右からバカリ・サーニャ、ローラン・コシルニー、エリキアム・マンガラ、ブルーノ・トレムリナスと並び、マンガラは代表デビュー、トレムリナスは代表2試合目の出場である。守備的MFは初めて主将を務めるブレーズ・マツイディとエチエンヌ・カプー、攻撃的MFは右にディミトリ・ペイエ、中央にマチュー・バルブエナ、左にヨアン・グルクフと並ぶ。フランク・リベリーの不在をこのところ代表では好調なバルブエナ、昨年11月14日のイタリア戦以来の代表チームとなるグルクフが埋めるかどうかが注目の的である。そしてトップはオリビエ・ジルー、スペインのレアル・マドリッドに所属するカリム・ベンゼマに代わっての起用である。
■ルイス・スアレスの一撃に沈んだフランス
立ち上がりからフランスは積極的に攻めるがゴールを奪うことができない。フランスはパス主体で試合を支配し、しばしばウルグアイのゴールを襲うが、なかなかネットを揺らすことができない。フランスにとって絶好のチャンスが訪れたのは39分のことであった。フランスは自陣でウルグアイにFKを与え、ピンチを迎える。しかしこのピンチから一転、ペイエとグルクフがパスをつなぎ、グルクフはオフサイドぎりぎりのところを抜け出し、GKと1対1になる。しかしこの好機をグルクフは外してしまう。
この好機をフランスが逃したこともあり、前半は過去4試合同様両チーム得点のないままに終わる。そして後半に入り、ウルグアイは4人のメンバー交代、ルイス・スアレスもピッチに入ってきた。この交代がリズムを変え、スアレスがいきなり仕事をする。50分に右サイドのマキシ・ぺレイラがスアレスにパス。スアレスはこの日代表デビューのマンガラをかわし、シュートを放ち、ウルグアイとしてはフランス相手にイングランドでのワールドカップ以来実に47年ぶりのゴールを奪ったのである。
フランスは1点リードされてから次々に選手を交代し、アレクサンドル・ラカゼット、ジョシュア・ギラボギ、クレマン・グルニエが次々に代表にデビューしたが、ゴールの気配はなく、0-1で敗れる。フランスは今年に入ってからの4試合で3敗目。厳しい結果と共にブラジル戦に挑むことになったのである。(続く)