第1586回 U-20ワールドカップで初優勝(5) 決勝トーナメント1回戦で開催国トルコに大勝
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■決勝トーナメント1回戦の相手は開催国のトルコ
フランスは、グループリーグで前回大会のチャンピオンであり欧州チャンピオンでもあるスペインに敗れたが、グループ2位で決勝トーナメントに進出する。今回は参加24チーム中16チームが決勝トーナメントに進出するということで、グループリーグの全日程が終了した段階で決勝トーナメントの組み合わせが決まる。
フランスは決勝トーナメント1回戦で開催国のトルコと対戦することになった。開催国のトルコはグループCでコロンビアに敗れ2位となった。2位同士の対戦ということでグループリーグ首位になった場合に比べて1日早く決勝トーナメントを迎える。場所もシリア国境に近い南部のガージアンテプに移る。ガージとは戦士という意味であるが、このガージアンテプは第一次世界大戦によりオスマン帝国が解体した後にフランス軍が進駐したが、その後、独立運動がおこり、住民はフランス軍相手に勇敢に戦った。この勇敢に戦った市民たちに対し、国民議会がガージという称号を都市に与えたのである。会場となるのは収容人員16000人のカミル・オカック競技場、カミル・オカックとはこの都市出身のトルコの元スポーツ大臣の名前である。スポーツ大臣を経験したがゆえに、ガージアンテプ市内のスポーツ施設はこの競技場以外の体育館などもカミル・オカックの名を冠している。
■若きタレントが目白押しのトルコ
このような歴史系背景もあり、満員の1万6000人の観衆はフランス撃破に燃える。フランスは主力のストッパーのサミュエル・アンティティが出場停止、代わりに同じリヨンのナビー・サールを起用する。一方のトルコは開催国として出場しているが、予選に相当するU-19欧州選手権は二次予選で敗れ、本大会に残ることができなかった。しかし、若きタレントがいる。注目選手はフェネルバフチェに所属し、マンチェスター・ユナイテッドが獲得の噂のあるサリフ・ウカン、イングランドのフルハムに所属し、すでにA代表の経験もあるケリム・フレイ、イスタンブールのメッシと呼ばれるセンク・サヒンなどである。
■フランス、絶好調で大差でトルコに勝利
フランスにとっては決してやさしくはない相手であったが、今大会になって最高のゲームを展開した。試合の中心となったのは4-2-3-1システムの2、すなわち2人の守備的MF、ポール・ポグバとジョフレイ・コンドグビアという国外組である。ポグバとコンドグビアは攻撃の起点となり、19分にはコンドグビアがCKから先制点をあげる。34分には先制点を呼ぶCKを蹴ったジャン・クリストフ・バーエベックが追加点、2-0とリードして折り返す。後半に入ってトルコが盛り返したが、フランス守備陣がよく耐え、69分にはヤヤ・ソノゴが3点目、さらに73分にはジョルダン・ブルトゥが4点目をあげ、大差をつける。トルコは77分に1点を返すが、フランスが4-1と勝利し、準々決勝へ出場したのである。
■ぎりぎりの成績でここまで来たウズベキスタン
準々決勝はギリシャを下して進出してきたウズベキスタンが相手となる。ウズベキスタンはこの大会に特別な感情で臨む。それはこの大会開催に2011年に立候補しながらトルコに敗れているからである。大会予選となる2012年のU-19アジアカップでは本大会出場を決める準々決勝でシリアに終盤追いつき、PK戦で勝利する。準決勝では優勝した韓国に敗れたが、アジア代表として本大会に臨む。
グループFでは初戦でニュージーランドを3-0と下したが、クロアチアと引き分け、ウルグアイに敗れる。クロアチア、ウルグアイに次ぐ3位となり、他のグループン3位との比較となる。勝ち点4で、6チーム中2番目の成績となり、3回目の出場で初めて決勝トーナメントに進出した。決勝トーナメント1回戦ではグループDの首位チーム、ギリシャに3-1と快勝し、準々決勝に進出してきた。アジア勢として1999年の日本以来14年ぶりの準決勝進出を狙うのである。(続く)