第1672回 オランダと親善試合(1) 予選突破後、ワールドカップメンバー決定までの唯一の試合
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■プレーオフ以来久しぶりの試合
ワールドカップ開幕まで100日、3月5日のインターナショナルマッチデーには世界各地で親善試合が行われ、ワールドカップ本大会に出場する32チームすべてがこの日に試合を行い、フランスもオランダをスタッド・ド・フランスに迎える。
フランスがワールドカップ出場を決めたのは本連載第1626回から第1633回にかけて紹介した通り、昨年11月15日と19日に行われたウクライナとのプレーオフである。11月19日にスタッド・ド・フランスでの大逆転劇で本大会出場のチケットをつかんだが、それ以来初めての試合となる。また、このオランダ戦の次の試合は5月27日のノルウェー戦であり、予選突破からメンバー決定までに行われる唯一の試合となる。
フランスが親善試合を行うのは昨年10月11日の豪州戦以来のことであり、その前の親善試合は8月14日のベルギー戦、6月の南米遠征のウルグアイ戦、ブラジル戦と、過去1年間で4試合しか親善試合を行っていない。
早々と予選突破をした日本などとは本大会に向けた準備に大きな差があることは否めない。
■24人のメンバーを発表したディディエ・デシャン監督
その予選突破後メンバー決定までの唯一の試合であることから、このオランダ戦に向けたメンバー選出に注目が集まった。ディディエ・デシャン監督は2月27日に24人のメンバーを発表した。
GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ステファン・ルフィエの3人、DFはマチュー・ドビュッシー、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコー、エリアキム・マンガラ、ルーカス・ディーニュの8人、MFはブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、ムーサ・シソッコ、クレマン・グルニエ、ヨアン・カバイエ、リオ・マブーバの6人、FWはフランク・リベリー、マチュー・バルブエナ、ディミトリ・ペイエ、カリム・ベンゼマ、オリビエ・ジルー、ロイック・レミー、アントワン・グリエスマンの7人となる。
11月のプレーオフの際に招集された24人と比べると4人が入れ替わった。第3GKが入れ替わり、ミカエル・ランドローがルフィエに代わった。またDFではエリック・アビダルとガエル・クリシーが抜け、マンガラとディーニュが加わった。MFのサミール・ナスリが抜け、FWにグリエスマンが加わった。
■第3GKのステファン・ルフィエ
今回加わったメンバーであるが、いずれも代表経験がないか経験の浅いメンバーである。GKマブーバがのルフィエは2010年のワールドカップの際は5番目以降のGKであったが、第3GKのセドリック・カラッソが大会期間中に負傷したため、南アフリカに飛び、試合には出場できないものの代表チームにバックアップメンバーとして帯同した。ルフィエが唯一代表の試合に出場したのは南アフリカでのワールドカップの際の練習ボイコット事件により、当時のメンバーを外した8月に行われたノルウェー戦、この1試合だけである。また昨年6月の南米遠征でルフィエは代表チームのメンバーに入ったのが、この時はロリスとマンダンダが試合に出場し、出場機会が与えられなかった。今回のオランダ戦も出場の機会はないであろうが、第3GKとして35歳になるベテランのランドローか、27歳のルフィエか、チームとしてどちらを選択するかはデシャン監督の考え次第である。
■昨年の南米遠征で代表にデビューしたエリアキム・マンガラ
DFのマンガラは昨年の南米遠征で初めて代表入りし、第1戦のウルグアイ戦で代表にデビューした。この時は23人のメンバーのうち4人が代表出場経験なしというフレッシュなメンバー構成であったが、マンガラ以外に代表経験のなかったクレマン・グルニエ、ジョシュア・ギラボギ、アレクサンドル・ラカゼットもその後、代表には定着できなかった。これは、その後は瀬戸際のワールドカップ予選、プレーオフが続き、経験の少ない選手を試す余裕がなかったからであろう。マンガラも南米遠征以降初の代表入りであり、ここでアピールして今年の6月は代表デビューの地である南米でプレーすることを望んでいるはずである。(続く)