第1748回 欧州選手権目指しスタート(3) 欧州選手権目指し、メンバーが固定

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■選手の入れ替えが難しいワールドカップ明け

 前回の本連載ではワールドカップにエントリーしたメンバーから、今回のスペイン、セルビアとの連戦に臨むメンバーに2人しか変更がなく、さらに入れ替わった2人も新人ではないこと、そしてその理由を2つ紹介した。
 ディディエ・デシャン監督がワールドカップや欧州選手権の本大会を節目と考えていないのであれば、確かにフランスのワールドカップが終わったのは7月初め、フランスリーグは8月上旬に再開し、代表メンバー発表の段階で国内リーグは各チームまだ3試合しか消化していない。さらにイングランドやイタリアはシーズン開幕がフランスよりも遅く、これでは「所属クラブで調子のいい選手を選ぶ」と言っても選びようがないであろう。逆に今回のスペインのようにリーグ開幕直後で、1試合しかしていない段階で新人選手を起用するのは冒険と言えるであろう。

■ターゲットは2年後の地元開催の欧州選手権

 そして何よりもデシャン監督自身が照準を2年後の欧州選手権に合わせていることである。2016年の欧州選手権は現行の大会形式、すなわちホームアンドアウエーのリーグ戦形式で予選を行い、勝ち残ったチームが1か国(あるいは2か国)に集まってセントラル開催で行われるという1980年大会以来の大会フォーマットの最後の大会である。フランスは1960年大会の第1回、そして1984年大会、さらに次の2016年大会と3回のホスト国を務めてきた。決勝トーナメントを3回ホストした国はフランスだけであり、その最初と最後を飾るというのはいかにもフランスらしい。
 そして前回の1984年大会は見事に優勝、1998年のワールドカップでも開催国優勝を果たしているから、2016年の欧州選手権で優勝を飾りデシャン自身も選手、監督としての優勝を狙っている。
 デシャンの選手起用はワールドカップ前から若手を登用する動きがあり、さらにはアンダーエイジでのU-20ワールドカップの主力メンバーや国内外のリーグで成果を残している選手を舞台の大小にかかわらず起用してきた。
 そのゴールが欧州選手権であり、折り返し地点がワールドカップである。折り返し地点のワールドカップでは準々決勝で優勝したドイツに0-1と競り負けている。リーグ戦に例えれば秋の王者はドイツに譲ったが、残り半分での栄光は射程距離である。

■ワールドカップメンバー以外が3人先発したスペイン

 後半戦の開幕がスペイン戦でありセルビア戦である。スペインは今回のワールドカップでは第1戦でオランダに敗れ、チリにも敗れて最初にブラジルから去ることになった。2002年のフランスの姿を見るようであったが、第3戦は豪州に完勝、自力のあるところを見せている。
 さて、スペインの先発メンバーであるが、GKはダビド・デヘア、DFは4人、右からダニエル・カルバハル、ミケル・サンホセ、セルヒオ・ラモス、セサル・アスピリクルタ、MFは3人、中盤の底にセルヒオ・ブスケッツ、右にコケ、左にセスク・ファブレガス、FWは右にサンティ・カソルラ、左にラウール・ガルシア、中央にディエゴ・コスタという布陣である。この中でブラジルでのワールドカップメンバーでなかったのはダニエル・カルバハル、ミケル・サンホセ、ラウール・ガルシアの3人である。

■フランスは先発全員がワールドカップメンバー、11人中10人はドイツ戦でも先発

 一方のフランス、GKはウーゴ・ロリス、DFはスペイン同様4人で右からマチュー・ドビュッシー、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコー、ポール・エブラ、MFは守備的な位置に2人、右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、攻撃的な位置は3人、右にムーサ・シッソコ、中央にマチュー・バルブエナ、左にアントワン・グリエズマン、そして1トップはカリム・ベンゼマである。先発メンバー全員がブラジルでのワールドカップのメンバーである。さらに、この11人のうちシッソコ以外の10人はワールドカップでの最後の試合となったドイツ戦でも先発している。シーズンオフをはさんで2月前の試合と先発の11人中10人が同じメンバーというのは驚きである。(続く)

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