第1765回 ポルトガル、アルメニアと連戦 (4) カリム・ベンゼマとポール・ポグバの得点で勝利

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2トップにシステムを変えたフランスの先発メンバー

 フェルナンド・サントス新監督の元で協会設立100周年の最後を飾りたいポルトガル、世界ランキングはこの時点で11位、迎え撃つフランスは9位である。勢いには差があるものの、ワールドカップまでは世界ランキングだったポルトガルはパリ周辺に住む多数のポルトガル人の期待に応えるためにもフランスに勝ちたいところである。ポルトガルではフランスで1975年から勝利していない。
 スタッド・ド・フランスには7万8000人を超えるほぼ満員の観衆が集まった。フランスの先発メンバーであるが、GKはスティーブ・マンダンダ、DFは4人で右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、エリアキム・マンガラ、ポール・エブラ、MFは4でダイヤモンド型、守備的な位置にヨアン・カバイエ、中央には2人、右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、トップ下はマチュー・バルブエナ、FWは2人、右にアントワン・グリエズマン、左にカリム・ベンゼマである。
 9月の連戦でベストメンバーを組んだスペイン戦は4-3-3システムであったが、今回は4-4-2、システムの変更はグリエズマンとベンゼマという2人のFWに期待してのシステム変更であろう。

■主将を務めたブレーズ・マツイディ

 スペイン戦との先発メンバーの変更はGKがウーゴ・ロリスからマンダンダ、このメンバー変更は主将であるロリスに代えて第2GKのマンダンダをテストするとディディエ・デシャンは公言していたが、ロリスが負傷で練習が十分にできないため、マンダンダがこのポルトガル戦での先発となった。右サイドのDFがマチュー・ドビュッシーからサーニャ、左のストッパーがママドゥ・サコーからマンガラに代わったが、スペイン戦で先発した2人がメンバーから外れたためである。中盤ではムーサ・シッソコが外れ、カバイエが入った。
 そしてロリスに代わって主将は17試合連続出場となるマツイディが務めた。マツイディは所属クラブでは主将の経験は豊富であり、サンテチエンヌに所属していた時には21歳で名門の主将を務め、パリサンジェルマンでも主将経験は豊富である。しかし、代表チームではデシャン体制になってから26試合中24試合はロリスが主将を務め、マツイディとサコーが1試合ずつ務めただけであり、マツイディは昨年6月の南米遠征のウルグアイ戦以来のキャプテンマークである。

■カリム・ベンゼマが開始早々に先制点

 試合は開始早々に動いた。3分、左サイドからグリエズマンがクロスをあげる。このクロスに走り込んだのはオーバーラップしてきた右サイドDFのサーニャである。サーニャはシュートするがポルトガルのDFに当たる。このボールがはねかえり、ゴール前のベンゼマの足元に落ちる。ベンゼマは6メートルの位置からシュートを放ち、ポルトガルのGKのルイ・パトリシオとDFのペペの間を抜けたボールはネットに吸い込まれ、フランスが先制点を決める。

■ポール・ポグバの追加点で揺れる無数の三色旗

 フランスが先制点をあげたものの試合展開は互角となる。ポルトガルにはクリスチャーノ・ロナウド、ナニといったビッグネームもいる。モナコのジョアン・モウチーニョは先発メンバーに名を連ねていたが、もう1人のモナコ所属のリカルド・カルバーリョは後半からピッチに姿を現す。約1万人のポルトガル人がこの日はスタッド・ド・フランスに集結したが、彼らの緑と臙脂の国旗が鳴りを潜めたのは69分のことであった。左サイドのエブラがペナルティスポット付近のベンゼマにクロス、ベンゼマはポグバにつなぎ、ポグバの右足のシュートで追加点。スタッド・ド・フランスは無数の三色旗が揺れる。
 ポルトガルの反撃は77分、ポグバがペナルティエリアの中でファウル、リカルド・クアレスマがPKを決めたが、フランスは2-1と勝利。9月のスペイン戦に続き、イベリア勢にスタッド・ド・フランスで連勝したのである。(続き)

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