第1778回 アルバニア、スウェーデンと連戦 (4) マルセイユでスウェーデンと対戦
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ラグビーの国際試合と日程が重なる11月
欧州選手権予選でも好調なアルバニアとのレンヌでの戦いは試合終盤のアントワン・グリエズマンのゴールでフランスが辛うじて引き分けに持ち込んだ。その4日後、舞台をレンヌからマルセイユに移してスウェーデンとの親善試合が続く。 14日のレンヌでの試合後、フランスはクレールフォンテーヌに戻るのではなくレンヌで合宿をしてからマルセイユに移動する。11月のインターナショナルマッチデーの試合はラグビーの国際試合が国内で行われるため、試合会場に制約がある。今年の場合、11月8日にマルセイユでフィジーと戦い、15日にスタッド・ド・フランスで豪州と戦う。15日にラグビーの試合があるため、14日と18日に予定されている国際試合はスタッド・ド・フランス以外で行われることになり、レンヌとマルセイユで行われたわけである。
■サッカーの都、マルセイユでの戦績は6勝3分3敗
前回の本連載ではパリ以外の地方都市でのフランスの戦績がいいことを紹介したが、サッカーの都マルセイユでこれまで代表戦を12試合行っているが、その戦績は6勝3分3敗、意外とよくないと感じられる読者の方も少なくないと思われるが、3敗のうちの2敗はマルセイユで最初に行われた1942年のスイス戦との親善試合、2番目の試合である1960年の欧州選手権の3位決定戦のチェコスロバキア戦であり、これ以降フランスが敗れたのは本連載第937回から第940回で紹介した2009年2月のアルゼンチンとの親善試合だけであり、過去10試合の戦績は6勝3分1敗と好成績を残している。
■欧州選手権出場を目指すスウェーデンとの過去の戦績
本年最終戦の相手であるスウェーデンはグループIではなくグループGの第2シード、第1戦はアウエーでオーストリアと引き分け、10月に入り、第2戦は第1シードのロシアとホームで引き分け、そして第3戦はリヒテンシュタイン相手にようやく初白星をあげた。11月15日の第4戦はモンテネグロとのアウエーの戦い、ズラタン・イブラヒモビッチが先制するが、終盤にPKを与えてしまい、追いつかれてドロー、4試合を終えて1勝3分、首位オーストリアと勝ち点4差で2位、順位的には悪くはないが、満足のいく結果ではないだろう。スウェーデンは今年のワールドカップでもプレーオフでポルトガルに敗れており、それだけに今回の欧州選手権出場への思いは強いであろう。今年の最終戦でフランス相手に勝利をあげて来年への弾みをつけたいところである。
これまでフランスとスウェーデンの戦績はフランスが8勝5分5敗と優勢である。しかし直近の対戦は2012年の欧州選手権のグループリーグ、本連載第1414回と第1415回で紹介した通り、すでにグループリーグ敗退が決定したスウェーデンにフランスは0-2で敗れるが、グループリーグで2位となって決勝トーナメントに進出する。このスウェーデンの勝利は実に43年ぶりの勝利であった。フランスはスウェーデンとはホームでこれまでに8回対戦、5勝2分1敗と大きく勝ち越し、唯一の敗戦は1952年のことである。
■ディディエ・デシャンの代表での地位を確立したスウェーデン戦
そしてスウェーデンはイングランド、スペインと並び、ディディエ・デシャン監督が現役時代に最も多く対戦したチームでもある。最初の対戦は1989年8月の親善試合である。前年から行われていた1990年ワールドカップイタリア大会予選でフランスは大苦戦、アンリ・ミッシェル監督が解任されミッシェル・プラティニ監督が就任、ベテランのカムバック、新人の起用とメンバー選考は迷走する。その中でデシャンが同年4月のユーゴスラビア戦でデビューする。スウェーデンのマルモで行われた試合はフランスが4-2と快勝、その中心がゲームメーカーとして活躍したデシャンであり、代表の中での地位を確立する。その後、1992年欧州選手権のグループリーグ、1994年ワールドカップ米国大会予選で2試合、1998年に行われた親善試合と、合計5試合に出場、通算成績は2勝3分と相性も良いのである。(続く)