第1835回 ブラジル、デンマークと連戦(2) ワールドカップ後に立ち直ったブラジル
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ワールドカップ後、6戦全勝のブラジル
前回の本連載ではフランス代表の23人を紹介したが、一方のブラジルのメンバーを紹介しよう。フランスは昨年のワールドカップはベスト8、ブラジルは4位である。ブラジルの方が結果そのものはよいが、フランスは優勝したドイツに準々決勝で0-1と惜敗、ブラジルは地元開催でありながら、準決勝のドイツ戦の1-7、3位決定戦のオランダ戦の0-3という屈辱的なスコアで、国民に大きな失望を与えたことは記憶に新しい。
そのブラジルはワールドカップ以降は完全に立ち直った。9月にはコロンビアとエクアドルに1-0と連勝、10月に入ってからはアルゼンチンに2-0、日本に4-0とまた連勝する。11月にはトルコに4-0、オーストリアに2-1と連勝、ワールドカップ以降6試合は全勝、失点わずかに1と強いブラジルが戻ってきた。
■23人中17人が欧州のクラブに所属するブラジル
この強いブラジル、今年最初のインターナショナルマッチデーは3月26日にフランス、29日にチリと連戦する。この2試合のための23人のメンバーが発表された。23人のメンバーのうち、ブラジル国内のクラブに所属している選手は5人だけである。18人は国外のクラブに所属している選手であるが、1人がアジアのクラブに所属している以外の17人は欧州のクラブに所属する選手であり、有力選手は欧州のクラブに所属している。
■フランスのクラブに所属する4人のブラジル代表
フランスのクラブに所属している選手は4人、パリサンジェルマンのマルキーニョス、ダビド・ルイス、チアゴ・シウバの3人、そしてモナコのファビーニョである。イングランドのクラブに所属している選手が多く、チェルシーのフィリペ・ルイス、オスカル、ウィリアンの3人、マンチェスター・シティのフェルナンジーニョ、リバプールのフィリペ・コウチーニョと5人になる。スペインリーグはバレンシアのジエゴ・アウベス、アトレチコ・マドリッドのミランダ、レアル・マドリッドのマルセロ、そしてバルセロナのネイマール、フランスリーグと同じ4人である。それ以外の欧州のクラブはドイツのヴォルフスブルクのルイス・グスタボ、ホッフェンハイムのロベルト・フィルミノの2人、ポルトガルのポルトのダニーロ、ウクライナのシャフタール・ドネツクのダグラス・コスタである。またアジアのクラブから選出されたのは中国の上海のジエゴ・タルデリである。
そして国内組に目を転じてみると、グレミオのグロヘ、ボタフォゴのジェフェルソン、コリンチャンスのエリアス、サンパウロのソーザ、サントスのロビーニョというメンバーである。
■ワールドカップから大幅にメンバーを入れ替えたブラジル
今回の23人のうち、昨年のワールドカップのメンバーは9人だけである。ワールドカップ以降、6戦全勝のブラジルを支えているのは豊富な人材である。地元開催で大会終盤に恥をさらした暗黒のイレブンは代表チームから追い出されたという見方もできる。昨年のワールドカップの23人のメンバーのうち当時30歳以上だった選手は8人もおり、地元開催での優勝にかけるブラジルの姿勢が理解できるが、そのうち残ったのはGKのジェフェルソンだけであり、若いメンバーが選出された。
注目すべきは残っているメンバーである。9人のうち国内のクラブに所属しているのは控えのGKだったジェフェルソンだけであり、残りの8人は欧州のクラブに所属している。その中でダビド・ルイスとチアゴ・シウバはパリサンジェルマンの選手である。
パリのファンにとってはこの2人に加え、マルキーニョスもパリサンジェルマンに所属しており、黄色いユニフォームに身を包んだ彼らの姿を見ることも楽しみであるが、ダビド・ルイスとマルキーニョスはリーグ戦のボルドー戦で負傷しており、結局は出場できなかったのである。(続く)