第1840回 ブラジル、デンマークと連戦(7) デンマークに快勝、ブラジル戦の敗戦から立ち直る

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2000年からの長期政権となるモルテン・オルセン監督

 前回の本連載ではフランスリーグに多くの選手が所属しているデンマーク代表の選手も紹介したが、デンマーク代表の監督のモルテン・オルセンに触れないわけにはいかない。1949年生まれの65歳、選手としては若くしてベルギーに渡り、セルクル・ブルージュ、RWDモレンビーク、アンデルレヒトなどで活躍し、晩年は西ドイツのケルンで選手生活を39歳まで過ごした。デンマーク代表としては19年間にわたり102試合に出場、リベロとして確固たる地位を築いた。
 引退後はデンマークのブロンビーを皮切りに、ケルン、アヤックス・アムステルダム(オランダ)の監督を歴任し、2000年からデンマーク代表の監督になっている。以来、これまでにデンマーク代表を率いた試合は157試合である。現在の欧州で15年にわたり代表チームの監督を務めているというのは驚異的なことであり、欧州でモルテン監督に次ぐのは2006年夏から指揮を執っているドイツのヨアヒム・レーブ、世界を見渡してもウルグアイのオスカル・タバレスが2006年春からであるということを考えれば驚異的な長期政権であると言えるであろう。また選手として19年、監督として15年、合計34年間もデンマーク代表のメンバーであるということも驚くべき数字である。

■現在暫定首位のデンマーク

 デンマークはこのフランス戦を迎える段階で欧州選手権のグループIでは他のチームより1試合多い4試合を消化し、2勝1分1敗の勝ち点7で首位、それ以下の順位は2位ポルトガル(3試合消化で勝ち点6)、3位アルバニア(3試合消化で勝ち点4)となっており、フランスで行われる本大会出場に向けてグループリーグでは暫定首位の座にある。

■リヨンのアレクサンドル・ラカゼット、うれしい代表初ゴール

 さて、満員の3万5000人の観衆の前でいよいよキックオフ、スタッド・ド・フランスでのブラジル戦でフランスは青のシャツ、白いパンツ、赤いストッキングというトリコロールのユニフォームで戦ったが、ファーストユニフォームの青を着用したが、この日は白いシャツ、青いパンツ、白に青の横じまの入ったストッキングで赤と白を基調とするデンマークとの戦いに臨む。
 試合は相手との力量の差もあるが、木曜日にスタッド・ド・フランスで行われたブラジル戦とは見違えるような展開となった。この日特に目を見張る活躍をしたのは4-2-3-1システムの3の両翼に当たる右のアレクサンドル・ラカゼットと左のアントワン・グリエズマン、この2人がトップのオリビエ・ジルーに配給し、サイドからの効果的な攻撃が展開された。そして14分、ゴール前でグリエズマンがデンマークのGKと競り合ってこぼれたボールがラカゼットの前に落ちる。ラカゼットが至近距離のシュートを決めて、先制点、サンテチエンヌのファンにとっては宿敵リヨンの選手の先制点を祝福することになったのである。ラカゼットは今季は好調でリーグ戦で24得点をあげている。昨年までのリーグでの実働4シーズンでの通算得点が23得点であり、それをしのぐ得点をあげていることから代表復帰は当然であろう。しかし、代表ではこれまで5試合出場無得点であり、うれしい代表初ゴールとなった。

■オリビエ・ジルーの追加点、クルト・ズーマは慣れ親しんだスタジアムで代表デビュー

 さらに41分、ジョフレイ・コンドグビアの左サイドからのクロスが、ゴール前のジルーにつながる。ジルーがシモン・キアルをかわしてシュート、フランスは2点をリードしてハーフタイムを迎えたのである。前半に2得点を奪ったのはワールドカップが終わってからの試合で初めてのことである。
 後半に入り、セーフティリードのフランスは親善試合の6人の交代枠を使い切った。ブラジル戦でデビューしたリヨン所属のナビル・フェキルは60分に出場し、ブラジル戦の倍の時間をピッチの上で走り回った。また82分には、ディディエ・デシャン体制になって51番目に起用した選手となるクルト・ズーマも古巣サンテチエンヌの本拠地で代表にデビューした。
 ブラジル戦の敗戦から一転してデンマークに快勝、次は6月のベルギー、アルバニアとの連戦である。(この項、終わり)

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