第1868回 ベルギー、アルバニアに連敗(1) シーズン最終戦で代表入りしたポール・ジョルジュ・ヌテップ
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■シーズン終了後に行われるベルギー、アルバニア戦
5月30日のフランスカップ決勝でフランス国内のサッカーシーズンは終わりを告げた。今年は奇数年であるためワールドカップ、欧州選手権の本大会がシーズン後に開催されず、6月の初めにインターナショナルマッチデーとして代表チームの試合が2試合ある。6月7日にスタッド・ド・フランスにベルギーを迎え、13日にはアルバニアとアウエーで対戦する。
クラブレベルではパリサンジェルマン、モナコともチャンピオンズリーグのベスト8どまりであったが、代表チームは昨年のワールドカップ以降は親善試合で非常に良いパフォーマンスを残しており、このシーズン最後の2試合で、1年後の欧州選手権でフランスに集うライバルたちに「フランス強し」という決定的なイメージを植え付けておきたいところである。
■試合の2週間前に発表された24人のメンバー
ディディエ・デシャン監督はこの6月の連戦を前に24人の選手を5月22日に発表した。通常は試合の1週間前にメンバーが発表されるが、今回は2週間前の発表となった。フランスリーグは5月23日に最終節を迎え、フランスカップは5月30日に決勝が行われるが、シーズンが終わる前に選手を指名し、シーズン後も緊張を継続して持つことを望んで、このタイミングでの発表となったのであろう。
GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、ステファン・ルフィエ、DFはパトリス・エブラ、クリストフ・ジャレ、ローラン・コシエルニー、エリアキム・マンガラ、バカリ・サーニャ、ママドゥ・サコー、ラファエル・バラン、ブノワ・トレムリナス、MFはヨアン・カバイエ、マキシム・ゴナロン、ジョフレイ・コンドグビア、ブレーズ・マツイディ、ディミトリ・ペイエ、ポール・ポグバ、ムーサ・シソッコ、マチュー・バルブエナ、FWはナビル・フェキル、オリビエ・ジルー、アントワン・グリエズマン、アレクサンドル・ラカゼット、ポール・ジョルジュ・ヌテップというメンバーである。
3月末のブラジル、デンマークとの連戦時は23人のメンバーが招集されたが、それと比較すると、DFではクルト・ズーマに代えてマンガラを復帰させ、中盤ではモルガン・シュナイデルランを外し、負傷が癒えたポグバ、カバイエを復帰させた。攻撃陣では軸となるカリム・ベンゼマが負傷で離脱した後に新人のヌテップを起用した。
■カメルーン生まれの22歳、ポール・ジョルジュ・ヌテップ
代表初招集となったヌテップであるが、レンヌ所属の22歳のFWである。カメルーンのドゥアラ生まれであり、8歳の時にフランスに渡り、パリ郊外で少年時代を送る。パリ郊外の若者の夢、それがサッカー選手である。ヌテップは育成に定評のあるオセールの下部組織に入り、昨年1月までオセールに所属していた。フランスとカメルーンの二重国籍であるが、フランスのアンダーエイジでの代表歴も豊富であり、2010年に18歳以下の代表チームに入り、昨年秋まで23歳以下の代表チームのメンバーとしてU-23欧州選手権を目指してきた。
■注目されるウイングのポジション争い
今回のベンゼマの負傷によりデシャン監督は様々なオプションの中からヌテップを選んでいる。右利きであるが所属チームのレンヌでは左ウイングとして俊足を披露し、今季は9得点6アシストを記録している。左ウイングの座はフランク・リベリーの後任としてグリエズマンが定位置を確保し、スペインのアトレチコ・マドリッドでもよい成果を残している。逆の右サイドは今季所属チームのリヨンで大活躍したラカゼットが控えている。さらに、3月の試合で代表に初招集となり、今回もメンバーに入ったフェキルもまたウイングの選手である。
ストライカーのベンゼマの負傷によって代表入りというチャンスを得たヌテップであるが、ライバルのウイングプレーヤーたちとのポジション争いで勝ち残ることができるであろうか。(続く)