第1874回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(1) 関心が高まる女子ワールドカップ
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■予算規模が2大会前のほぼ2倍になった女子ワールドカップ
奇数年である2015年の6月はワールドカップも欧州選手権の本大会もないが、女子のワールドカップがカナダで開催されている。1991年に始まり、今回が7回目となる女子ワールドカップであるが、大会の商業的な規模は到底男子にはかなわない。しかし、この大会に対する注目度、大会規模の拡大は目を見張るものがある。2007年の中国開催を転機として大会に注目が集まり、前回のドイツ大会では異様な盛り上がりを見せ、そして今回から本大会出場は24か国へと拡大され、カナダが舞台となる。カナダ大会の予算規模は2大会前の中国大会のほぼ2倍になる。
■2010年代に好成績を残したフランス女子サッカー
特にフランスの女子サッカーはこの大会の反映と同期し、近年輝かしい成果を残している。女子サッカーの世界ではワールドカップとオリンピックという2つの目標があるが、フランスはワールドカップでは1991年大会以来予選敗退続きで、本大会に初出場したのは2003年大会だけであり、グループリーグで敗退している。しかし、2011年大会では4位に躍進している。一方、オリンピックにおける女子サッカーは1996年大会に始まったが、こちらも予選の壁をなかなか突破することができず、初出場は2012年大会である。この時も準決勝に進出、準決勝で日本に敗れ、3位決定戦でカナダに敗れ、前年のワールドカップに続き4位になっている。2010年代になってから国際大会で上位に進出してきたフランスのサッカーは世界から注目を集めるとともに、フランス国民の関心も高まっている。
フランス国内では前回の2011年大会の準決勝の米国戦は300万人近い人が視聴しているが、今大会も複数のテレビ局で放映される。
■フランス代表23人の顔ぶれ
フランスは欧州予選を勝ち抜いて本大会に出場した。本大会のエントリー人数は前回の2011年ワールドカップは21人、2012年オリンピックは18人であるが、今大会は男子と同じ23人である。メンバーを紹介すると、GKはサラ・ブハディ、セリーヌ・デュビル、メリーヌ・ジェラールの3人、DFはウェンディ・ルナール、ロール・ブロー、アナイ・ビュテル、サブリナ・ドラノワ、ローラ・ジョルジュ、ジェシカ・ウアラ、アメル・マジリ、グリエッジ・ムボック、MFはカミーユ・アビリー、エリーズ・ビュサグリア、ケンザ・ダリ、ケイラ・アマラウイ、アマンディーヌ・アンリ、クレール・ラボジェ、ルイーザ・ネシブ、エロディ・トミ、FWはマリー・ロール・デリー、カディディアトゥ・ディアニ、ユージェニ・ルソメ、ガエタン・ティネというメンバーである。
■ベテランが引退、主将は24歳のウェンディ・ルナール
女子サッカーの特徴として幅広い年齢層であり、ベテラン選手も多く存在するということが言える。実際に2011年のワールドカップ、2012年のオリンピックの際はサンドリーヌ・スーベイラン、ソニア・ボンパストール、サブリナ・ビグイエなどのベテラン選手がチームをけん引した。しかし、これらのベテラン選手がロンドンオリンピックで引退し、今回のフランス代表のメンバーには30歳以上の選手は23人のメンバーのうち3人にすぎない。しかし、代表経験が豊富な選手が多く、100試合以上出場経験がある選手は実に7人(ジョルジュ:159試合、アビリー:146試合、ビュサグリア:144試合、ネシブ:126試合、ティネ:122試合、トミ:117試合、ルソメ:105試合)に上る。この7人のうち、ジョルジュとアビリー以外の5人は20代の選手であり、若くして代表入りし、代表に定着してきたことがよくわかる。
そしてこれら代表のキャリアの豊富な選手たちの集まるチームで主将を任されたのがルナールである。ルナールはまだ24歳、3年前のオリンピックではチーム最年少であった。しかし、代表ではすでに66試合出場、強豪リヨンのストッパーである。
また昨年監督が交代、男子のワールドカップに選手並びにコーチとして出場した経験のあるフィリップ・ベルジュローがチームを率いるのである。(続く)