第1876回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(3) 世界ランキング28位のコロンビア相手に敗れる

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2010年代になって力をつけてきたコロンビア

 グループFで最大の難敵イングランドを1-0と下して白星スタートのフランス、残るグループリーグの相手はコロンビアとメキシコである。
 フランスの第2戦の相手はコロンビアである。コロンビアは初戦をメキシコと1-1のドローで勝ち点1である。コロンビアもフランス同様2010年代に入ってから急速に力を伸ばしてきた国である。2011年のワールドカップ、2012年のオリンピックとそれぞれ初出場を果たしている。世界ランキングもかつては40位以下であったが現在28位までランクアップさせてきた。南米選手権ではブラジルに次ぐ準優勝となっており、来年のリオデジャネイロオリンピックの出場権も確保している。しかし、欧州の強豪の中でもまれているフランスとの力の差は明白であろうという試合前の評判である。

■メンバー変更が裏目に出たフランス

 フランスは第1戦と同じモンクトンでの試合となる。フランスはこの第2戦で勝利すれば2位以内を確定することができる。フランスがキックオフを迎える段階で決勝トーナメント進出を決めているのは日本だけ、フランスも日本に続いて2番目に決勝トーナメント進出を決めてしまいたいところである。フランスはイングランド戦と先発メンバーを少し入れ替える。イングランド戦同様4-2-2システムであり、守備陣はGKサラ・ブハディ、DFは右からジェシカ・ウアラ、ローラ・ジョルジュ、ウェンディ・ルナール、ロール・ブローと変更がないが、MFは右からケンザ・ダリ、カミーユ・アビリー、エリーズ・ビュサグリア、ルイーザ・ネシブと並ぶ。アマンディーヌ・アンリとエロディ・トミにかえてダリとビュサグリアを起用した。FWはイングランド戦同様ティネとルソメのコンビである。
 中盤を入れ替えたフィリップ・ベルジュロー監督であるが、この采配が裏目に出た。フランスはボール支配率が6割と試合を支配したが、肝心なところでの1対1の競り合いに負ける。ベテランのビュサグリアは敵との競り合いに負けるシーンが多く、ファンを失望させた。また、右サイドのダリはスピードはあったが有効な攻撃を組み立てることができなかった。

■シュートの精度を欠いたフランス

 フランスは序盤にネシブが2回好機を作ったものの、得点には至らず、逆に19分にタックルされたティネがボールを奪われ、コロンビアの逆襲に遭う。アスレイディユレリ・リンコンがオフサイドギリギリのところに位置していたレディ・アンドラーデにパスし、アンドラーデがペナルティスポット付近からグラウンダーのシュート、ブハディも及ばず、フランスは今大会初の失点を喫する。押し気味に試合を進めながら同点に追いつけないフランス、シュート数は21本ながら、枠に飛んだシュートはわずかに6本である。フランスの強みはシュートの正確性である。大会前の数字ではフランスはシュートのうち枠をとらえたものの割合が49%と出場24か国中で最も高い。そのシュートの正確性を誇るフランスのシュートの精度が落ちたのでは得点は難しい。

■枠内シュート2本で2点を奪ったコロンビア

 さらに守勢一方だったコロンビアは後半のロスタイムに入ってこの日6本目のシュートをマリアカタリナ・ウズメが放つ。このシュートはコロンビアの放ったこの日2つ目の枠内に飛んだシュートとなった。このシュートも決まり、シュート数6本のコロンビアはシュート数21本のフランスに2-0と勝利したのである。コロンビアにとってはうれしいワールドカップ初勝利となった。
 サッカーに番狂わせはつきものとは言え、この敗戦はいろいろな意味で歴史的なものとなった。まず、ベルジュロー監督就任以来、33戦目で3回目の敗戦となったが、これまでの2敗はいずれも米国相手である。米国以外の国に初めて敗れた。
 また、フランスが世界ランキングで20位以下のチームに敗れたのは2007年6月16日のアイスランド(当時の世界ランキング21位)戦以来8年ぶりのことである。
 そして女子がコロンビアに敗れた6月13日、男子もアルバニアに敗れた。男女そろってジャイアントキリングに遭ってしまったのである。(続く)

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