第1907回 ポルトガル、セルビアに連勝(2) 58年ぶりにリスボンでポルトガルと対戦

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■8月末にクレールフォンテーヌに集合したフランス代表

 欧州選手権まであと9か月、年内に親善試合を6試合行うが、その最初の試合がアウエーでのポルトガル戦である。8月27日に発表されたフランス代表のメンバーは31日の月曜日にクレールフォンテーヌに集合し、合宿入りした。合宿開始の時点で第3GKのステファン・ルフィエが直前のバスティアとの試合で負傷したため、ブノワ・コスティルが代わりに招集された。コスティルはこれまでに代表の招集されたことはあるが、試合に出場したことはなく、この2試合で出場のチャンスを得たいところである。また、前回の本連載で紹介した通り、初選出のアントニー・マルティアルはマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)への移籍が決まり、その契約のために、合宿を抜けてイングランドと往復した。
 シーズン最初の代表での活動とあって、9月2日には公式の集合写真の撮影というイベントも行われ、試合前日の9月3日にリスボンに移動した。

■昨年10月のスタッド・ド・フランスでの対戦はフランスの勝利

 リスボンに向かう日の朝に、FIFAが最新の世界ランキングを発表し、フランスは前月の23位から1つ順位を落として24位になる。対戦相手のポルトガルは6位をキープしている。
 ポルトガルとフランスはこれまでに23回対戦し、フランスの17勝、ポルトガルの5勝、そして1つに引き分けという結果が残っている。今回の欧州選手権予選ではグループIに入っているため、昨年10月11日にはスタッド・ド・フランスで親善試合を行い、フランスが2-1で勝利したことは本連載第1764回と第1765回で紹介した通りである。2006年のワールドカップ、2000年の欧州選手権、1984年の欧州選手権でも対戦し、いずれもフランスが勝利している。
 フランスとポルトガルはワールドカップや欧州選手権の予選で対戦したことはない。今回の欧州選手権予選は開催国として予選免除になったフランスがグループIに所属したと仮想して親善試合を行っているが、実はこれが初めて予選段階での対戦となる。したがって上記のワールドカップ、欧州選手権の本大会以外の対戦は親善試合だけとなる。

■リスボンでの両国の対戦は58年ぶり

 ところが、不思議なことにフランスとポルトガルがリスボンで対戦したことは非常に少ない。フランスが最後にポルトガルのホームで試合を行ったのは1997年1月の親善試合、この時はブラガで試合が行われた。その前のポルトガル国内での親善試合は1983年のギマランイスで行われており、リスボンで対戦したのは1957年までさかのぼらなくてはならず、もう半世紀以上リスボンでの対戦がない。また、リスボンのスタジアムというとベンフィカの本拠地であり、改装前は北半球最大の収容人員を誇ったルス競技場が有名であるが、1957年の対戦は国立競技場で行われ、ルス競技場での対戦経験がない。今回もベンフィカの本拠地のルス競技場ではなく、スポルティング・リスボンが本拠地とするジョゼ・アルバラーデ競技場での対戦となる。

■2004年欧州選手権でギリシャに敗れたジョゼ・アルバラーデ競技場

 ただし、フランス代表自身は改装後の現在のルス競技場で試合を行った経験がある。2004年の欧州選手権がポルトガルで開催され、グループリーグの初戦でフランスはイングランドとルス競技場で対戦する。38分にフランク・ランパードに先制を許したが、90分と93分にジネディーヌ・ジダンが2ゴールをあげて試合終了間際に逆転勝利をしている。
 フランスはグループリーグを勝ち抜いたが、決勝トーナメントの初戦で優勝したギリシャに敗れている。このギリシャ戦が行われたのはジョゼ・アルバラーデ競技場であった。フランス代表はこれまでに1試合だけジョゼ・アルバラーデ競技場で試合をしたことがあるが、伏兵に敗れているのである。ギリシャに敗れた2004年6月以来、11年ぶりにフランスはポルトガルの地で試合を行うことになるのである。(続く)

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