第1908回 ポルトガル、セルビアに連勝(3) ナビル・フェキルが代表初先発

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■マンチェスター・ユナイテッドを迎えて行われたジョゼ・アルバラーデ競技場のこけら落とし

 フランス代表にとっては11年ぶりの訪問となるリスボン、ポルトガルとの試合はジョゼ・アルバラーデ競技場で行われる。ジョゼ・アルバラーデ競技場はスポルティング・リスボンの本拠地である。この競技場は2004年の欧州選手権に向けて建て直されたものであるが、その際のこけら落としの試合が2003年8月にスポルティング・リスボンとマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)との間で行われた。

■クリスチャーノ・ロナウドがマンチェスター・ユナイテッドに移籍

 この季節に行われたこけら落としの試合と言えば、国内外の有名チームを招聘し、ファンサービスの一環としての意味あいが濃いいが、この試合はそうではなかった。
 当時のスポルティング・リスボンには若手の有望選手がいた。マデイラ諸島出身のクリスチャーノ・ロナウドである。クリスチャーノ・ロナウドは11歳の時にリスボンに渡り、スポルティング・リスボンの下部組織に所属する。下部組織で頭角を現し、国内外のチームがプロ契約を提示し、リヨンもこの争奪戦に加わったが、結局スポルティング・リスボンと2002年にプロ契約を結び、そのシーズンはほぼ全試合に出場する。そして2年目のシーズンを迎えるところで本拠地が落成し、こけら落としでマンチェスター・ユナイテッドを迎える。この試合でクリスチャーノ・ロナウドは素晴らしいパフォーマンスを演じ、スポルティング・リスボンはマンチェスター・ユナイテッドを3-1と下す。そして名将アレックス・ファーガソン監督の目に留まり、18歳のクリスチャーノ・ロナウドはマンチェスター・ユナイテッドへ移籍することが決まり、ボビー・チャールトン、ジョージ・ベスト、エリック・カントナ、デビッド・ベッカムという歴代のスターが付けた背番号7を戴冠したのである。
 マンチェスター・ユナイテッドと言えば、今回フランス代表に唯一の初招集となったアントニー・マルティアルがモナコから移籍したばかりである。

■注目のアントニー・マルティアルはベンチスタート

 クリスチャーノ・ロナウドの伝説を作ったジョゼ・アルバラーデ競技場でのマルティアルの代表デビューを期待したいところであるが、マルティアルはポルトガル戦の直前に契約のためにクレールフォンテーヌとマンチェスターを往復したばかりである。
 ディディエ・デシャン監督がポルトガルとの試合の先発メンバーに送り込んだのはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、パトリス・エブラ、MFは低い位置にヨアン・カバイエ、攻撃的な位置に右にムーサ・シッソコ、中央にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、そしてFWは2トップで右にナビル・フェキル、左にカリム・ベンゼマとなり、マルティアルはベンチスタートとなった。

■カリム・ベンゼマと2トップを組むナビル・フェキルが代表初先発

 今回の布陣には特徴がある。まず、基本的にベンゼマを1トップとして起用してきたが、この試合は2トップで臨む。そして2トップはベンゼマとフェキルが組むことになるが、これはFWとしてのフェキルのテストと言ってもいいであろう。フェキルが代表入りしたのは今年の3月であるが、デビュー戦はブラジル戦ですでに1-3と大勢が決まってから最後の16分間だけの出場であった。その後、デンマーク戦、6月のベルギーとアルバニアとの連戦にも試合終盤に交代出場し、5試合目にして初めて先発の座を与えられたのである。
 今回のメンバーの中にもベンゼマと2トップを組む候補としては、マチュー・バルブエナ、アントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルーが考えられるが、この試合におけるフェキルならびにベンゼマのパフォーマンスが良ければ、この2人を軸に攻撃陣を構成することも考えられる。
 そしてFWを2トップにしたことから4人のMFを守備的な位置に1人、攻撃的な位置に3人という4-1-3-2システムを採用したが、攻撃的な位置の中心、見方によってはトップ下にポグバを起用した。元々は守備的MFであるが、チームリーダーとしてポグバの可能性を探るのであろう。(続く)

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