第1998回 オランダ、ロシアに連勝(3) ヨハン・クライフの亡くなった翌日にオランダ戦

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■オランダ、ロシアとの連戦に臨む23人のメンバー

 3月23日、ディディエ・デシャン監督はオランダ、ロシアとの連戦に臨む23人のメンバーを発表した。
 GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ブノワ・コスティルの3人、若手の抜擢はなかった。
 DFはラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、ママドゥ・サコー、ジェレミー・マチュー、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、ルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレというメンバー、マチュー・ドビュッシーが復帰した際に誰が抜けるかが焦点である。 MFはポール・ポグバ、ムーサ・シソッコ、エンゴロ・カンテ、ヨアン・カバイエ、ラッサナ・ディアラ、ブレーズ・マツイディ、ディミトリ・ペイエの7人、前回の本連載で紹介したカンテが唯一の新人としてメンバーに入った。
 FWはアントワン・グリエズマン、アントニー・マルティアル、キングスレー・コマン、オリビエ・ジルー、アンドレ・ピエール・ジニャックの5人であり、マルティアル、コマンの2人の若手が名を連ねた。
 この23人と今回負傷等の理由で外れた若干名のメンバーが欧州選手権のメンバーとなるが、その最後の試金石がオランダ、ロシアとの連戦である。

■試合の前日にヨハン・クライフが死去

 オランダ戦は3月25日にアムステルダムのアレーナで行われた。この時点の世界ランキング、フランスの24位に対し、オランダは15位、しかしオランダは今年の欧州選手権予選では不覚を取り、久しぶりに予選落ちとなる。そしてオランダのファンにとってもっと悲しいことが起こる。フランス戦の前日にヨハン・クライフが68歳で生涯を閉じた。この天才フットボーラ―については改めて紹介したい。

■新デザインの白いユニフォームに身を包んだフランスイレブン

 フランスは白いセカンドユニフォームを着用するが、デザインが新調されている。今年の6か国対抗で一足先にお披露目したラグビーの新ユニフォームに似たデザインであり、右肩が青、左肩が赤であり、正面から見て国旗と同じ配色となっている。試合前には1分間の黙祷がささげられたが、これはベルギーのブリュッセルでのテロ事件の犠牲者を悼むためのものであり、クライフに対する追悼のセレモニーは試合が始まって14分後に行われる。
 白い新しいデザインのユニフォームに身を包んだフランスイレブン、GKはマンダンダ、DFは右からジャレ、バラン、コシエルニー、エブラ、中盤は低い位置にディアラ、攻撃的な位置の右にポグバ、左にマツイディ、攻撃陣は右にグリエズマン、左にペイエ、中欧はジルーである。一番代表歴が少ないのがジャレの10試合であり、キャリアをある程度重ねた選手がそろった。
 一方のオランダ、欧州選手権予選落ち後の新チームということで先発11人のうち代表歴が1桁の選手が5人となったが、主将のウェスレイ・スナイデルだけはこの試合が代表121試合目と両チームで唯一の100試合以上の出場を誇る。

■背番号14のブレーズ・マツイディが主将を務めるフランス

 フランスは正GKで通常は主将を務めるロリスがベンチスタートいうこともあり、主将はマツイディが務めたが、マツイディの背番号は14、奇しくもクライフが世界のサッカー選手に残した番号である。
 フランスとオランダの過去の戦績はオランダ10勝、フランス9勝、4つの引き分けとほぼ互角である。1963年から1980年まで両国は対戦しておらず、意外なことにクライフはフランス代表と対戦の経験がない。
 またオランダでの試合の場合、アムステルダムよりもロッテルダムで試合が行われることが多く、アムステルダムでの試合は2000年の欧州選手権以来のこととなる。もっともこの時は欧州選手権であり、元々試合会場が決まっていたところに抽選で、親善試合やワールドカップや欧州選手権の予選でのアムステルダムでの試合となると1937年までさかのぼらなくてはならない。そしてフランスは1995年以来、オランダでの勝利がないのである。(続く)

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