第2000回 オランダ、ロシアに連勝(5) 最後の4試合で4連勝したロシア、欧州選手権予選を突破
おかげさまで第2000回の連載を迎えることになりました。連載開始以来15年で2000回もの連載を続けることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。
■昨年11月13日の同時多発テロ以来のサッカーの試合
オランダとのアムステルダムの試合に勝利したフランス、欧州選手権のメンバー決定前の最後の試合は3月29日、ホームのスタッド・ド・フランスが舞台である。昨年の11月13日、ドイツ戦の夜に同時多発テロが起こり、1人死亡、56人が負傷するという世界の人たちには忘れられないスタジアムとなった。その後、ラグビーの6か国対抗ではイタリア戦、アイルランド戦、イングランド戦を行ったが、サッカーの試合としてはそれ以来の開催となる。
今年6月の欧州選手権は安全確保のため無観客試合も議論されたが、それはテロリストに屈するということで警備を厳重にし、選手にプレーに集中してもらい、ファンには思う存分試合を楽しんでもらうという方針で臨む。開幕までにフランス国内で行われる国際試合は5月30日のカメルーン戦(ナント)、そして6月4日のスコットランド戦(メッス)だけであり、スタッド・ド・フランスでの最終戦となる。警備陣にとってもこのロシア戦は重要な準備の機会となる。
■欧州選手権に出場するロシア
対戦相手のロシアは世界ランキングは23位、フランスの24位よりも1つ上位であり、フランスが25日に対戦したオランダの15位よりは下位である。しかし、ロシアはオランダと異なり、欧州選手権の予選を勝ち抜き、本大会を意識しているという点ではフランスと同じである。
■第1シードながら、伏兵オーストリアに連敗、独走を許す
本連載でも少し紹介したが、ロシアの欧州選手権予選を振り返ってみよう。ロシアは第1シードとしてグループGに入る。第2シードはスウェーデンであり、両チームの争いかと思われたが、ロシアはもたつきを見せる。初戦のホームのリヒテンシュタイン戦は4-0、第2戦のアウエーのスウェーデン戦は1-1のドローとここまでは予定通りであったが、第3戦のモルドバ戦では終盤にPKで先行したが、その直後に追いつかれ、ホームのファンを落胆させる。
伏兵の第3シードのオーストリアが独走する。そして第4戦では第3シードのオーストリアに0-1と敗れてしまう。年が変わり2014年3月27日のアウエーのモンテネグロ戦ではスタンドから投げ込まれた発煙筒がロシアの選手に当たり、負傷退場、さらに騒ぎは収まらず、0-0のまま、ロシアのPKが失敗したところで67分に試合は中止、没収試合となり、ロシアの勝利が認められた。ある意味、幸運な勝ち点3を得たわけであるが、続く試合は首位を独走するオーストリア戦、ホームで0-1と敗れ、勝ち点を伸ばすことができない。グループGはオーストリアが首位で、2位はスウェーデン、そして3位のロシアはスウェーデンを勝ち点4差で追うことになった。
■最後の試合で4連勝、スウェーデンを抜いて2位に入る
予選も大詰めとなった2015年の秋、ロシアに冬将軍ならぬ秋将軍がやってくる。9月5日にロシアはスウェーデンをモスクワに迎え、1-0と勝利する。モンテネグロは無観客試合でリヒテンシュタインに勝利し、ロシアとモンテネグロはスウェーデンに勝ち点1差に迫った。9月8日にはロシアはリヒテンシュタインに7-0と大勝、モンテネグロもモルドバに勝利、ところがスウェーデンはオーストリアに敗れ、2位に勝ち点14のロシア、連敗で勝ち点が12のスウェーデンは3位と順位が入れ替わった。
10月9日、ロシアはモルドバに勝利、スウェーデンもリヒテンシュタインに勝利。ズラタン・イブラヒモビッチも得点をあげ、最後の代表での姿をパリをはじめとするフランスのファンの前でプレーする執念を燃やす。
最終戦は10月12日、ロシアもスウェーデンもホームでの戦いとなる。結果的にはロシアはモンテネグロを、スウェーデンはモルドバをそれぞれ下す。秋の陣で4連勝したロシアは最終成績6勝2分2敗となり、2位に入ってフランス行きを決めたのである。
グループGの順位表を見る限り、首位オーストリアの勝ち点28、2位ロシアの勝ち点20と大差がついたが、終盤戦のロシアの猛チャージは侮れないのである。(続く)