第2047回 若きブルー、欧州を制覇(1) 初戦はイングランドに敗れる
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■テロとは無縁に終わった欧州選手権
た。結果は準優勝、決勝戦の結果だけを見れば、残念であるが、主力選手を欠いた中でのこの成績は十分に評価できる。また、昨年11月13日にスタッド・ド・フランスで同時多発テロが起こった際は、大会の開催そのものを危ぶむ声もあったが、警備当局の努力と国民、観客の協力により、大会期間中はテロとは無縁であったことは喜ばしいことである。(もちろん、7月14日にニースで起こった事件については非常に残念であったが)
そして、欧州選手権が終わると、通常より長いシーズンを戦った選手たちには束の間のバカンスが訪れるが、世界のサッカーは常に回り続けている。
■20歳以下ワールドカップの予選を兼ねる19歳以下の欧州選手権
チャンピオンズリーグは予備戦が始まっているが、今回は欧州選手権が終了してすぐに始まった19歳以下の欧州選手権について紹介しよう。この大会は1948年に始まり、当初はジュニア選手権、そして18歳以下欧州選手権と名称と出場年齢を変えながら毎年行われてきた。上位大会としては20歳以下のワールドカップがあり、2年に1回、この19歳以下の欧州選手権が予選を兼ねている。今年は来年韓国で行われる20歳以下のワールドカップに5チームが出場できる。
フランスは昨年11月に行われた1次予選でオランダを抑え、首位で突破し、今年3月にセルビアで集中開催された2次予選ではデンマーク、セルビア、モンテネグロ相手に3連勝し、本大会に出場している。
今年の本大会の舞台はドイツである。本大会に進出したのは開催国ドイツのほか、予選を勝ち抜いたイングランド、イタリア、オーストリア、オランダ、クロアチア。ポルトガル、そしてフランスである。4チームずつ2つのグループに分かれてグループリーグを戦う。各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。またグループリーグの3位となったチームは20歳以下のワールドカップ出場をかけたプレーオフを戦う。したがって各チームとも第一目標はグループリーグで2位以内に入ることである。
■フランスの誇る攻撃陣、ジャン・ケビン・オーグスティンとキリアン・ムバッペ
フランスはグループBに入り、イングランド、クロアチア、オランダの順に対戦した。フランスの中心はパリサンジェルマンに所属するジャン・ケビン・オーグスティンとモナコに所属するキリアン・ムバッペという2人のFWである。オーグスティンはハイチ系でパリ生まれ、パリサンジェルマンの育成組織出身で、プロ2年目の昨季はしばしば試合に出場した。まだ17歳のムバッペは今年2月のトロワ戦でゴールを決め、ティエリー・アンリを脱いでクラブ最年少得点記録を更新している。
■若手育成に力を入れてきたイングランド相手に惜敗
2人の強力な攻撃陣を抱えながら、フランスは黒星スタートとなる。兄貴分のフル代表がポルトガルに敗れた翌々日の7月12日にイングランドと戦う。プレミアリーグは大物外国人選手が集結し、それがイングランドの国際大会での不振につながっているという声もある。草創期にはこの大会で好成績を残してきたイングランドであるが近年は振るわない。しかし今年の欧州選手権では多数の若手選手を集め、予選は10戦全勝で期待を持たせ、決勝トーナメント1回戦でアイスランドにまさかの敗退となったが、若手育成に近年力を入れてきた成果が見え始めた。今大会は、1993年大会以来23年ぶりの優勝を狙っている。
試合は、開始早々の3分にフランスのクレマン・ミシュランが相手のクロスを痛恨のオウンゴール、フランスは9分には追加点を奪われ、試合開始から10分もたたないうちに2点のリードを許すという苦しい展開になる。フランスはゲームを支配し、イングランドよりも多くのシュートを放ったが、結局、オーグスティンが33分に1点を返したにとどまり、1-2と敗れてしまったのである。(続く)