第2097回 本年最後となる11月の連戦(6) コートジボワールと引き分け、年間勝利数と勝率は世界一

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■選手をテストする絶好の機会となったコートジボワールとの親善試合

 ブノワ・コスティルとアドリアン・ラビオという2人の代表初出場選手を含む11人がランスのボラール・のピッチでラ・マルセイエーズを歌った。
 ワールドカップ予選で単独首位に立った直後の親善試合ということで選手をテストすることができる。2012年にディディエ・デシャン監督が就任して以来、1週間以内に行う2連戦で最初の試合が予選などの公式戦で次の試合が親善試合というのは初めてのケースである。したがって、このコートジボワール戦には代表経験の浅い選手が多く名を連ねた。その中で最多の出場数を誇るのはポール・ポグバであり、この試合が44試合目、それに次ぐのは35試合目となるラファエル・バランである。前回の本連載で紹介した通り、この2人は3年前の2013年3月22日のジョージア戦で一緒に代表にデビューしている。23歳の2人がフランス代表のリーダーとなることを3年前には誰しもが期待するが、誰もその夢が実現するとは予想しなかったであろう。
 そして、このコートジボワール戦にはちょっとした記録がかかっていた。それは年間最多勝である。今年フランスは16戦して13勝2分1敗という好成績を残している。この年間13勝という数字は2003年と並びフランスのサッカーの歴史で最多勝である。このコートジボワール戦に勝利すれば年間14勝となり、13年ぶりに新記録を達成することになる。

■アフリカ選手権で活躍したローラン・ポクーを追悼し黙祷

 試合に先立って1分間の黙祷が捧げられた。かつてコートジボワール代表として活躍したローラン・ポクーが2日前に69歳で亡くなったことを追悼するものである。ポクーはフランスリーグのレンヌやナンシーにも所属したが、特筆すべきはアフリカ選手権での活躍であろう。1968年と1970年の大会で連続得点王に輝き、通算得点は14得点、この記録は2008年にカメルーンのサミュエル・エトーに破られるまで長い間、アフリカの金字塔であった。

■なかなかシュートに結びつかないフランス

 試合はフランスのキックオフで始まり、立ち上がりから攻め込む。ランスの3万8000人のファンは大喜びである。しかし、先に決定機を作ったのはコートジボワールであった。11分にロングパスをアダマ・トラオレがシュートし、ポストに当たって跳ね返ったところをサロモン・カルーが押し込んでゴールインしたが、フランスはオフサイドの判定に救われる。フランスは押し気味に試合を進めるものの、シュートになかなか結び付かず、その数少ないシュートも枠をとらえることができない。一方の守勢のコートジボワールはコンパクトに守り、カウンターを狙い、29分にもフランスのゴールに迫るがコスティルがパンチングで逃れる。
 両チーム無得点で後半に入るが、後半開始時点でフランスは3人のメンバーを交代する。バランに代えてローラン・コシエルニー、ポグバに代えてムーサ・シッソコ、ダンベレに代えてナビル・フェキルと投入する。フェキルは交代直後にディミトリ・パイエにパスし、パイエがシュートするものの、コートジボワールのDFがCKに逃げる。フランスが得点チャンスをつかんだのは69分、ジブリル・シディベからのクロスをフェキルがシュートするがコートジボワールのGKに阻まれる。ビッグチャンスを作ったばかりのシディベはここでセバスチャン・コルチャにポジションを譲り、コルチャは代表初出場となった。また78分にはラビオが負傷し、退場、苦いデビュー戦となった。ラビオに代わりトマ・ルマールが初めて代表の試合に出場し、4人の新人がこの試合でデビューした。
 そして試合終了間際にコートジボワールは86分に途中出場して代表にデビューしたばかりのニコラ・ペペがシュートし、これをコスティルがようやく防ぎ、負けを逃れた。

■年間勝利勝の新記録は更新できなかったが年間勝利数と勝率は世界一

 0-0のスコアレスドローとなり、フランスは年間14勝という新記録を作ることはできなかったが、年間13勝、勝率77%は誇るべき数字であり、いずれも国際的にみてナンバーワンであり、勝率で2位は67%のブラジル(15戦10勝)とアルゼンチン(12勝8敗)である。欧州ではドイツが16戦10勝で勝率63%、ベルギーが15勝9敗で勝率60%、さらに欧州チャンピオンであり今年フランスに唯一の黒星をつけたポルトガルは17戦10勝の59%にとどまっているのである。(この項、終わり)

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