第2119回 アフリカ選手権開幕 (1) 最下位シードから初出場を決めたギニアビサウ
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リビアに代わって開催をするガボン
前回までは新春の風物詩であるフランスカップのベスト32決定戦の模様を紹介したが、今年はもう一つ、アフリカ選手権が開催される。アフリカ選手権は1968年以降2012年までは偶数年、すなわちワールドカップまたは欧州選手権(オリンピック)の開催される年の1月から2月にかけて行われていたが、2013年からは奇数年の初めに開催されることになった。奇数年開催となって3回目の今年の大会は通算で31回目となる。
今大会はもともとリビアで開催する予定であったが、国内の政治的理由から開催を返上し、ガボンで代替開催することになった。
■2012年大会を赤道ギニアと共同開催したガボン
ガボンは2012年大会を赤道ギニアと共同開催しており、この時は両国とも初開催であった。そして赤道ギニアは2015年大会を単独で開催しており、ガボンは赤道ギニアを追う形で初の単独開催となったのである。本大会に16か国が参加するようになったのは1996年大会からであるが、共同開催は2012年大会以外にガーナとナイジェリアで行われた2000年大会がある。2000年大会の共同開催国のガーナも2008年に単独開催をしており、共同開催のレガシーを活用して単独での開催を実現したといえるであろう。
今大会はリーブルビル、フランスビル、ポール・ジャンティル、オエムの4都市で開催さる。ガボン最大の都市がリーブルビルであり、フランスビルが第二の都市、ポール・ジャンティルが第三の都市であり、オエムは第五の都市となる。リーブルビルとフランスビルは2012年大会の開催実績があり、大規模な都市で開催される。
■中西部が半数以上を占める出場国
さて出場国であるが、開催国のガボン以外に52チームが出場し、4チームずつ13のグループに分かれてホームアンドアウエー方式で予選が行われた。各グループの上位1チームと2位のうち成績の良い2チームが本大会に出場する。2015年6月から2016年9月にかけて行われた予選で波乱が起こった。まず、有力国で予選落ちとなったのがナイジェリアである。予選段階で第1シードとなった国では他にザンビア、カーポベルデ、ギニアが予選落ちし、第2シード以下での有力国では南アフリカが予選を突破することができなかった。
16の出場国を紹介すると、北部からはエジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、中西部からはカメルーン、セネガル、ガーナ、マリ、ギニアビサウ、ブルキナファソ、トーゴ、コートジボワール、開催国のガボン、南部からはウガンダ、コンゴ民主共和国、ジンバブエとなる。
地理的な分布を言うならば、中西部からの出場が半数以上を占める。また、最多出場はエジプト、アフリカサッカーの盟主のプライドが今回も本大会出場の原動力である。またチュニジア、アルジェリア、モロッコのマグレブ三国はそろって出場した。
■唯一の初出場国のギニアビサウ
そして唯一の初出場国がギニアビサウである。セネガルとギニアに囲まれた小国であり、15世紀にポルトガルが上陸し、19世紀にはポルトガル領ギニアとなった。1960年代に他のアフリカの植民地の独立に誘発されて独立戦争が起こり、1973年にポルトガルから独立した。アフリカには他にもギニアのつく国があるため、首都ビサウがあることからギニアビサウと名乗った。しかし、独立後も内戦が絶えず、資源にも恵まれず、非常に厳しい経済状況である。アフリカでポルトガルから独立した国はほかにモザンビーク、アンゴラ、カーポベルデ、サントメ・プリンシペがあるが、いずれも経済的には厳しい。
他のアフリカ諸国に比べてサッカーの取り組みも遅く、アフリカ選手権の予選には1994年大会に初出場したが、その後は棄権が多く、予選をまともに戦ったのは2006年大会からである。また、ワールドカップ予選には1998年大会から参戦している。
しかし、今大会の予選でも最下位の第4シードとしてグループEに入ったが、第1シードのザンビアに1分1敗、第2シードのコンゴに1勝1敗、第3シードのケニアに2勝、結局3勝1分2敗で首位となり、驚きの初出場となったのである。(続く)