第2131回 カメルーン、5回目のアフリカ王者(4) カメルーンとガーナも準決勝進出
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■2002年大会の決勝の再戦となるカメルーン-セネガル戦
前回の本連載ではブルキナファソとエジプトが準決勝にしたことを紹介した。今回は残る準々決勝2試合を紹介しよう。
フランスビルではカメルーンとセネガルが対戦した。カメルーンにはこれまでに4回優勝、一方のセネガルはまだ優勝経験がない。セネガルが最も優勝に近づいたのは2002年大会のことであり、決勝に進出する。しかし決勝でカメルーンと対戦し、両チーム無得点のまま、延長戦でも決着がつかず、最後はPK戦となり、惜敗する。この時セネガルで最後にPKを蹴って失敗したのが現在セネガルの監督を務めているアルー・シセである。シセにとってはこの試合、どうしても勝利したいところである。ワールドカップやオリンピックでは活躍している両チームであるが、アフリカ選手権では意外なことに準々決勝進出はセネガルは11年ぶり、カメルーンは7年ぶりである。
■またもPK戦で敗れたセネガル
試合は15年前の雪辱を果たそうとするセネガルの気力が上回り、試合を支配する。しかしながら、なかなか得点をあげることができず、さらに激しい試合となりセネガル側は負傷者も続出し、10人で戦う時間帯もあり、厳しい試合となる。90分経過した段階で両チーム無得点で延長戦に入る。延長戦でもセネガルが押し込む。そして延長後半には主将のシェイク・クヤテをベンチに下げる。しかし、得点を奪うことができず、試合は15年前の決勝と同様にPK戦となる。PK戦ではセネガルが先蹴となり、4人目まで両チームとも全員成功させる。しかし、セネガルの5人目サディオ・マネが失敗、カメルーンの5人目のバンサン・アブバカールが成功させ、試合では終始劣勢だったカメルーンが準決勝に進出した。
■アイェウ兄弟の活躍で6大会連続で準決勝進出を決めたガーナ
カメルーンとの準決勝での対戦を争ってコンゴ民主共和国とガーナの試合が行われた。本連載第2129回でも紹介している通り、ガーナはアンドレとジョルダンのアイェウ兄弟の父のアベディ・ペレが出場して優勝した1982年大会以来優勝から遠ざかっているが、2008年大会から5大会連続して準決勝に進出している。コンゴ民主共和国はザイール時代に2回優勝し、前回大会は3位という好成績を残している。
フランスビルで行われたこの試合は、両チームが果敢に攻めあう好ゲームとなった。前半は両チーム無得点、後半に入るとガーナがリズムをつかみ、先制点は63分にインターセプトしたボールをジョルダン・アイェウが決めて、均衡を破る。しかし、コンゴ民主共和国もその4分後にポール・ジョゼ・エムポクのゴールで追いつく。その直後にコンゴ民主共和国の選手がペナルティエリアの中で接触プレーがあり、PKをアピールするが認められない。逆に主審がPKを認めたのは、77分、コンゴ民主共和国の選手のファウルであった。このPKをアンドレ・アイェウが決めてガーナが2-1というスコアでコンゴ民主共和国を下し、6大会連続の準決勝進出を決めたのである。
■ガーナのイスラエル人監督アブラム・グラント
さて、ガーナの監督はイスラエル人のアブラム・グラントである。強豪国ではないイスラエル人の監督は異色である。本連載の第2120回では多様化する外国人監督の国籍を紹介したが、ブルキナファソはポルトガル人監督、エジプトはアルゼンチン人監督、カメルーンはベルギー人監督である。準決勝を迎える段階でフランス人監督は姿を消し、旧宗主国の監督もいなくなった。グラント監督はイスラエル代表監督としてワールドカップの2006年大会予選ではフランスと同じグループに入り、ワールドカップ出場まであと一歩に迫った。その後、イングランドのチェルシーやポーツマスの監督を務めたこともある。2014年の終わりにガーナの監督に就任し、その直後に行われた前回大会ではチームを準優勝に導いた。2度目の采配となる今大会の戦いに注目したい。(続く)