第2132回 カメルーン、5回目のアフリカ王者 (5) 決勝はエジプト-カメルーン戦
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アフリカで長期にわたり監督を務めるパオロ・デュアルテ
アフリカ選手権準決勝は2月1日にブルキナファソ-エジプト戦、2日にカメルーン-ガーナ戦が行われた。
ブルキナファソ-エジプト戦はメイン会場のリーブルビルでキックオフされた。ブルキナファソの監督はポルトガル人のパオロ・デュアルテであり、フランス人監督以外では珍しいアフリカで長期にわたり監督を務めている。ポルトガル代表としても活躍したデュアルテは現役引退後、所属していたレイリアの監督になり、2007年にブルキナファソの監督となる。一時期だけフランスリーグ1部のルマンの監督を半年ほど務めたが、その後はアフリカのクラブチーム、ガボン代表の監督を続け、2015年の暮れに再びブルキナファソの監督になっている。10年目となるアフリカでの監督生活では、ワールドカップ出場はできず、アフリカ選手権についてはブルキナファソの監督として2008年大会は予選落ち、2010年大会は本大会に出場したがグループリーグで敗退、2012年大会も本大会のグループリーグで3連敗、2013年大会はガボン代表を率いたが予選でトーゴに敗れ解任されている。アフリカでは実績を残すことなくここまで来たが、今大会は予選を勝ち抜き本大会出場、そろそろ結果を出したいところである。
■初めてのアフリカとなるエジプトのエクトル・クーペル
一方のエジプトの監督はアルゼンチン人のエクトル・クーペルである。アルゼンチンで選手生活を終え、引退後もアルゼンチンのクラブで監督を務めたが、1997年にスペインで1部に昇格したばかりのマジョルカの監督に就任、いきなり国王杯で準優勝、リーグ5位という好成績を収め、その後はバレンシア、イタリアのインテル・ミラノ、パルマというビッグクラブの指揮を執る。そして2015年3月にエジプトの監督に就任、初めてのアフリカでの生活となる。今大会の予選では強豪ナイジェリアを破り本大会に進出した。
■ヒーローはエジプトの44歳のGK、エッサム・エル・ハダリ
アフリカでの経験が対照的な2人の監督の率いるチームの対戦となったが、前半からブルキナファソが優勢でしばしば得点機をつかむ。このブルキナファソの攻撃を止めたのがエジプトの44歳のGKエッサム・エル・ハダリである。そのエル・ハダリの好守に応えるべく、守勢のエジプトは後半に入って66分にモハメド・サラが先制ゴールを奪う。これに対して試合を支配していたブルキナファソは73分にアリスティッド・バンセのゴールで同点に追いつく。その後は両チーム無得点で試合は延長戦に入るが、ここでも決着はつかず、PK戦となる。
PK戦の主役は44歳のエジプトのGKであった。エジプトは先蹴であったが最初のキッカーがポストに当てて失敗する。3人目を終えたところで、ブルキナファソが1つリード、しかし、ブルキナファソの4人目のキッカーはGKのエルベ・クアク、このGK対決はエジプトのエル・ハダリが止めてタイスコアとなる。エジプトの5人目は成功したが、ブルキナファソの5人目のキックをエル・ハダリがまたもやセーブ、PK戦を制したエジプトが決勝に進出したのである。
■優勝4回同士の対戦はカメルーンが勝利
もう1つの準決勝は優勝4回同士の対戦となった。ガーナのイスラエル人監督のアブラム・グラントについては前回の本連載で紹介したが、カメルーンのベルギー人監督ウーゴ・ブロスについて紹介しよう。名門アンデルレヒトの選手として活躍し、引退後はアンデルレヒトを含むベルギーのクラブの監督を歴任した。他国のクラブの監督も経験し、2014年にアフリカに渡り、アルジェリアのクラブの監督に就任、2016年にカメルーンの監督となる。これが初めての代表の監督である。
この試合は序盤はカメルーンが優勢、次第にガーナが盛り返すという展開となる。先制点は77分のカメルーン、FKをガーナ守備陣をクリアしたボールをミッシェル・エンガジュ・エンガジュイが角度のないところからシュートを決める。さらにアディショナルタイムの93分にもクリスチャン・バソゴグが追加点、カメルーンが2-0とガーナを下し決勝に進出したのである。(続く)