第2188回 シーズン終了後の3連戦(1) 20歳以下のワールドカップの時期に招集された26人

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■シーズン終了後の6月初めに行われる3試合

 前回まで紹介した5月27日のフランスカップの決勝で今季のクラブレベルでの国内外の全日程が終わった。しかし、6月は偶数年であればワールドカップあるいは欧州選手権の本大会が行われるが、奇数年の今年もワールドカップ予選と親善試合が行われる。今年は3試合が行われる。6月2日にパラグアイとレンヌで親善試合、9日にスウェーデンでワールドカップ予選のスウェーデン戦、13日にスタッド・ド・フランスでイングランドと親善試合が行われる。この3試合に向けてディディエ・デシャン監督は26人の選手を選出した。

■ディディエ・デシャン監督が選んだ26人のメンバー

 そのメンバーを紹介するとGKはウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、ブノワ・コスティル、DFはルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレ、プレスネル・キンペンベ、ローラン・コシエルニー、バンジャマン・マンディ、ジブリル・シディベ、サミュエル・ウムティティ、ラファエル・バラン、クルト・ズーマ、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、アドリアン・ラビオ、ムーサ・シッソコ、コランタン・トリッソ、FWはウスマン・ダンベレ、オリビエ・ジルー、アントワン・グリエズマン、アレクサンドル・ラカゼット、トマ・ルマール、キリアン・ムバッペ、ディミトリ・パイエ、フローラン・トーバンというメンバーである。

■20歳以下のタレントは韓国での20歳以下のワールドカップに出場

 通常の国際試合には23人を招集しているが、今回はそれよりも多い26人、これは明らかに来年のワールドカップ本大会に向けて1人でも多くの選手をテストしたいという首脳陣の考えの表れであろう。本来であるならば、シーズン中の疲弊が少ない若手のフレッシュな戦力もメンバーに加えたいところである。しかし、この時期に20歳以下のワールドカップが開催され、フランスも出場しているため、20歳以下のタレントが招集されていない。例えばパリサンジェルマンに所属しているジャン・ケビン・オーギュスタン、選手層の厚いパリサンジェルマンでは出場試合数は10試合にとどまっているが、他のチームであれば確実にレギュラーの座が確保されているFWの選手である。バスティアのアラン・サン・マキシマンもそのドリブルの能力は残留争いをしているチームのレベルを突き抜けている。このような選手を本来は招集したいところであるが、かなり前からこれらの選手は20歳以下のワールドカップに出場させると両チームの首脳陣の間で決まっていた。

■20歳以下ながらフル代表入りしているウスマン・ダンベレとキリアン・ムバッペ

 こういう状況の中でこの26人の中で2人だけ20歳以下の選手がいる。ダンベレ(1997年5月15日生まれ)とムバッペ(1998年12月20日生まれ)である。今回の20歳以下のワールドカップの出場資格は1997年1月1日以降に生まれた選手に出場資格があるが、この2人についてはフル代表を優先するいわゆるプロテクトがかかっている。ダンベレは昨年の3月に行われた20歳以下のワールドカップ予選のパフォーマンスをデシャン監督が絶賛し、フル代表の欧州選手権明けの9月に早速ふるフル代表に初招集された。ムバッペは今年3月に初招集されている。ムバッペを初招集した際には次のフル代表の試合が20歳以下のワールドカップと重なることが議論となったが、デシャン監督は6月もフル代表に招集することを前提にムバッペをリストに加えたのである。
 そして3月のルクセンブルクとのワールドカップ予選、スペインとの親善試合という連戦の際にデシャン監督は代表出場歴のない選手をムバッペを含め7人も選出したが、その7人は今回のメンバーにも入っている。今回の26人はしたがって全員が代表招集歴のある選手となった。デシャン監督としてはシーズン終盤の3月と6月の5試合でメンバーを見極めようとしているのであろう。(続く) 

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