第2189回 シーズン終了後の3連戦(2) オリビエ・ジルーのハットトリックでパラグアイに大勝
■これまで4戦無敗のパラグアイ戦
シーズン終了後の6月初めに行われる3試合、まずは6月2日の親善試合のパラグアイ戦である。この3連戦の中では親善試合であり会場も地方都市のレンヌ、そして相手のパラグアイはこの時点で世界ランキングは36位(スウェーデンは34位、イングランドは13位)と、最もリラックスして戦うことのできるカードである。
パラグアイというと1998年ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で対戦、ランスのフェリックス・ボラールでの戦いは延長後半の114分にローラン・ブランのワールドカップ史上最初で最後となるゴールデンゴールでフランスが勝利している。以降2008年と2014年もこの時期にフランス国内で親善試合で対戦、いずれも引き分けに終わっており、1958年ワールドカップでの最初の対戦以来の通算成績はフランスの2勝2分である。
この試合を前にうれしい話がある。5月末にパラグアイの首都アスンシオンにあるフランス大使館公邸にジャン・クリストフ・ポトン大使が1998年大会時の主将のホセ・ルイス・チラベルトをはじめとするパラグアイ代表のメンバーを招いたのである。
■ブルターニュの首都レンヌで3回目の国際試合
レンヌはブルターニュの首都ともいわれる主要都市であり、会場となるローゾン・パーク競技場は1912年に完成した100年以上の歴史を誇るスタジアムである。かつてはロリアン通り競技場という名称であったが、2015年にクラブはファンに名称変更のアンケートを行い、ブルターニュ語でレンヌを表すローゾンへの変更を望む声が70%を越え、名称変更に至った。ブルターニュの独自性を物語るエピソードである。2000年代に入ってからレンヌでフランスは2回試合を行っており、2004年夏にはレイモン・ドメネク新監督の最初の試合としてボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1-1の引き分け)、2014年秋にはアルバニアとの親善試合でこちらも1-1の引き分けに終わっている。
■シーズン終了から2週間、試合感覚を取り戻すためのパラグアイ戦
この試合の位置づけは3連戦の中で最も重要なスウェーデン戦に向けた準備であるが、ほとんどの選手はシーズンが終了してから2週間の間隔があいており、試合感覚を取り戻すことが重要である。したがってスウェーデン戦とは中1週間の間隔を設け、十分なリカバリーをしてワールドカップ突破をかけた試合に臨むことになる。
フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からジブリル・シディベ、ローラン・コシエルニー、サミュエル・ウムティティ、バンジャマン・マンディ、MFは守備的な位置にブレーズ・マツイディとポール・ポグバ、攻撃的な位置に右からウスマン・ダンベレ、アントワン・グリエズマン、ディミトリ・パイエと並び、FWの1トップはオリビエ・ジルーである。
パイエはこの試合で背番号10を着用する。かつてはミッシェル・プラティニ、ジネディーヌ・ジダンという名手の番号であり、近年はマチュー・バルブエナ、カリム・ベンゼマが背番号10をつけたが、2人が代表を離れて久しい。
■オリビエ・ジルー、フランス代表として17年ぶりのハットトリック
しかし、この試合の主役は背番号9のジルーであった。6分に昨年までレンヌに所属していたダンベレの右サイドからのパスを受けて先制点を入れると、13分には左サイドからのパイエからのパスをヘディングで決めて追加点。そして後半に入って69分には左サイドDFに入ったルカ・ディーニュのパスを受けて3点目を決める。ジルーはハットトリックを達成したが、フランス代表でのハットトリックは2000年8月の世界選抜戦のダビッド・トレゼゲ以来のことである。単独の代表チーム相手だと1985年のルクセンブルク戦のドミニク・ロシュトーまでさかのぼらなくてはならない。
そして試合は76分に後半から入ったムーサ・シッソコ、77分にグリエズマンが追加点をあげて5-0と大勝する。
フランスはスウェーデン戦に向けてよいスタートを切ったのである。(続く)