第2249回 ワールドカップを目指し、発進(3) 大混戦となったウェールズのグループD
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■10試合のうち2試合が最後の2月に行われる欧州予選
多くの負傷者を抱える中で2試合の親善試合を行うフランス、まずはウェールズとの対戦となる。ウェールズはワールドカップ予選では最後の最後でロシア行きのチケットを手にすることができなかった。
欧州予選は54チームが6チームずつの9グループに分かれて行われ、各チーム10試合ずつ戦った。昨年9月に1試合、10月に2試合、11月に1試合、年が明けて今年になって3月に1試合、6月に1試合というペースで試合を行う。そして9月と10月に2試合ずつが行われた。すなわち、10試合のうち4試合は今年の9月と10月の1月強の間に集中して行われている。
■欧州選手権での大躍進、第1シードの勢いを失った前半戦
この秋の陣で猛チャージを見せたのがウェールズであった。
ウェールズはグループD、このグループは第1シードがウェールズ、第2シードがオーストリア、第3シードがセルビア、第4シードがアイルランド、第5シードがモルドバ、第6シードがジョージアと2015年夏の時点のFIFAランキングによってシード分けされていた。ウェールズは2016年の欧州選手権にはなんと初出場を果たし、準決勝に進出するという驚きの結果を残した。この勢いでワールドカップ予選でも第1シードにふさわしい戦いを見せて1958年のスウェーデン大会以来60年ぶりの本大会出場かと期待を集めた。その期待通り、開幕戦ではモルドバにホームで4-0と大勝、そして10月の第2戦でもアウエーで第2シードのオーストリアと引き分けた。ところが、その3日後、ホームのカーディフで第6シードのジョージアと1-1の引き分け、この辺りから欧州選手権の勢いが失せてきた。11月のセルビアとのホームゲームも引き分け、年が明けても引き分けが続く。負けてはいないものの、勝ち点1しか積み上げられず、9月を迎える段階で1勝5分、勝ち点8という成績で3位にとどまっていた。
■セルビアとアイルランドがリードして終盤を迎えたグループD
このグループDでロシアへの最短距離にいたのは伏兵のセルビアとアイルランド、いずれも3勝3分という成績、すなわち上位陣には引き分け、下位に対して勝利を収めるというパターンで、もたつくウェールズ、オーストリア(2勝2分2敗で勝ち点8、ウェールズと同勝ち点で得失点差で4位)に勝ち点4の差をつけて残り4試合を迎えた。
■9月からは3連勝し、首位セルビアと勝ち点1差で大混戦の中で最終戦
9月に入ってこの2強2弱が揺らいだ。9月2日に第7戦が行われ、首位のセルビアはモルドバに3-0と勝利したが、アイルランドはジョージアと引き分け、そしてウェールズは同勝ち点で並ぶオーストリアに1-0と勝利、実に1年ぶりの勝利をあげ、2位のアイルランドに勝ち点2差と肉薄した。
9月5日の第8戦はアイルランドとセルビアがダブリンで対決、これをアウエーのセルビアが1-0と勝利して、勝ち点を18に伸ばす。そしてウェールズはモルドバに勝利して、勝ち点3を積み上げ、勝ち点14となり、アイルランドを逆転して2位に浮上する。
首位のセルビアとは勝ち点4差、3位のアイルランドに勝ち点1差をつけて、10月の陣を迎える。
10月6日、ウェールズはジョージアとアウエーで対戦する。時差の関係で他の2試合よりも早くキックオフされた試合で、ウェールズは後半開始早々のトム・ローレンスのゴールで1-0と3連勝を飾り、勝ち点を17まで伸ばし、セルビアとの勝ち点差を1とした。そのセルビアはオーストリアとウィーンで対戦する。直前のウェールズの勝利で本大会出場の可能性のなくなったオーストリアが最後のホームゲームで意地を見せ、終了間際の勝ち越し点でセルビアに3-2と勝利する。また3位に落ちたアイルランドもモルドバに勝利して勝ち点を16とする。
この結果、最終戦を前にして、首位セルビアの勝ち点は18、2位ウェールズの勝ち点17、3位アイルランドの勝ち点16という大混戦となったのである。(続く)