第2308回 コロンビア、ロシアと連戦(2) 新人はルカ・エルナンデスとウィサム・ベンイェデル

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月15日に24人のメンバーを発表

 2014年のワールドカップ、2016年の欧州選手権とこれまで2回の国際大会を戦ったディディエ・デシャン監督、これらの大会のメンバー決定前の最後の試合となる3月の親善試合では、前年までのメンバーを起用し、新人を起用した場合は本大会のメンバーに残している。3月15日にコロンビアとロシアとの親善試合に向けたメンバーの発表を前に、デシャン監督がこれまでの路線を踏襲して、どのようなメンバーを選考するかが注目を集めた。
 デシャン監督が選んだメンバーは24人、GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、アルフォンス・アレオラ、DFはルカ・ディーニュ、ルカ・エルナンデス、プレスネル・キンペンベ、ローラン・コシエルニー、ジブリル・シディベ、サミュエル・ウムティティ、バンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、MFはエンゴロ・カンテ、トマ・ルマール、アドリアン・ラビオ、ブレーズ・マツイディ、コランタン・トリッソ、ポール・ポグバ、FWはアントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルー、フローリアン・トーバン、キリアン・ムバッペ、アントニー・マルシャル、ウスマン・ダンベレ、ウィサム・ベンイェデルという陣容である。

■負傷から復帰したウーゴ・ロリス、エンゴロ・カンテ、ポール・ポグバ、ウスマン・ダンベレ

 11月のウェールズ、ドイツとの親善試合と比べるとほぼ3分の1が入れ替わっている。11月に新人として招集されたパバールはサバイバルしたが、スティーブン・エンゾンジはリストから外れた。また、負傷により11月はメンバーから外れていたロリス、カンテ、ポグバ、ダンベレというところも復帰してきた。

■父親もアトレチコ・マドリッドに所属したルカ・エルナンデス

 注目の新人はスペインのアトレチコ・マドリッドに所属する22歳のDFのエルナンデスとセビリアのFWのベンイェデルの2人である。
 エルナンデスという名字を見てかつてトゥールーズで活躍したジャン・フランソワ・エルナンデスを思い出した読者の方もいらっしゃるであろう。ルカ・エルナンデスはジャン・フランソワ・エルナンデスの長男である。ルカ・エルナンデスはマルセイユ生まれ、これは父ジャン・フランソワが当時マルセイユに所属していたからである。ジャン・フランソワは選手生活の終盤はスペインで過ごし、アトレチコ・マドリッドにも所属していた。すなわち親子二代のアトレチコの選手であり、父がなしえなかった代表入りを果たしたのである。またルカ・ヘルナンデスの弟の21歳のテオ・エルナンデスはアトレチコのライバルのレアル・マドリッドに所属している。このようなサッカー一家のエルナンデスはストッパーと左サイドDFをこなす選手である。最大7試合を戦うワールドカップ本大会において、ストッパーとサイドバックをこなす存在は貴重である。バラン、コシエルニー、ウムティティ、キンペンベというストッパー陣、左サイドでディーニュ、シディベあたりとポジションを争うことになるであろう。また左サイドには今回メンバーから外れたマチュー・ドビュッシー、バンジャマン・マンディ、レイバン・クルザワも忘れてはならない。

■不祥事から6年、ウィサム・ベンイェデルも代表入り

 そしてもう1人の新人、ベンイェデルの名も本連載の読者の皆様ならご記憶であろう。残念なことに不名誉な事件であるが、2012年10月に行われた21歳以下の欧州選手権のプレーオフに向けた合宿中にパリのナイトクラブに出かけたため、1年間の代表からの追放となった。この時同じ処分を受けた仲間のうちの1人がグリエズマンである。グリエズマンは2年前の3月に代表に選ばれ、現在では代表には欠かせない存在となっている。今回はアレクサンドル・ラカゼットの負傷欠場によってベンイェデルが招集された形となったが、2年前のグリエズマンのようにチャンスをいかして、5月に発表されるリストに残ることができるであろうか。(続く)

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