第2390回 U-21欧州選手権本大会出場権獲得(2) 本大会出場を逃し続けるフランスに不祥事

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新旧のワールドカップ優勝メンバーが戦った2009年大会予選プレーオフ

 U-21欧州選手権の2007年大会予選はプレーオフでイスラエルに敗れたフランスであるが、続く2009年大会予選もプレーオフで敗れる。2007年から予選が始まったこの大会は1986年以降生まれの選手で構成され、フランスはグループリーグでウェールズに次ぐ2位に甘んじたが、グループ2位の中の上位チームということでプレーオフに進出した。
 プレーオフの相手はドイツ。ドイツのメンバーにはマヌエル・ノイアー、サミ・ケディラ、メスト・エジル、トニ・クロース、ジェローム・ボアテング、ベネディクト・ヘーベデス、フランスもウーゴ・ロリス、ブレーズ・マツイディ、ブノワ・コスティルという後に新旧の世界チャンピオンとなるメンバーがそろっている。そしてフランスの監督は現在は横浜Fマリノスで指揮を執るエリック・モンバエルツである。ドイツで行われた第1戦はドイツが先制するが、フランスはユネス・カブールの同点ゴールで引き分けに持ち込む。2年前のイスラエル戦と逆の展開である。しかし5日後の10月15日にメッスで行われた試合、ドイツのヘーベデスのシュートがロリスの守るゴールを破り、決勝点となる。フランスは1分1敗で敗退する。
 なお、フランスを下したドイツは翌年にスウェーデンで行われた本大会では見事に優勝を果たし、このメンバーが2014年のワールドカップ優勝を支えたのである。 ならば、その後の大会では今回のワールドカップで優勝したフランスのメンバーが活躍してもよさそうなものであるが、彼らはアンダーエイジではなかなかいい成績を残せなかった。

■プレーオフにも進めなかった2011年大会予選

 2011年大会の予選はフランスはウクライナ、ベルギーという上位陣相手に勝つことができず、グループリーグで3位に終わってしまい、プレーオフにすら進出できなかった。この時のメンバーにはママドゥ・サコー、マキシム・ゴナロン、ムーサ・シッソコ、モルガン・シュナイデルランなど代表で活躍することになるメンバーがいたが、今回のワールドカップ優勝メンバーはスティーブン・エンゾンジだけである。

■ワールドカップ優勝メンバーの大多数が活躍できなかった2013年以降の大会

 今回のワールドカップ優勝メンバーの年齢構成をみると1991年以降に生まれた、すなわち27歳以下が17人とほぼ4分の3を占める。彼らが21歳以下であったのは2013年大会予選以降となる(年齢制限は予選開始時に21歳以下)。すなわち、2013年、2015年、2017年大会は近未来の世界王者が欧州の舞台でその片鱗を見せつけるはずであったが、そうはならなかった。

■汚点を残した2013年予選のプレーオフ

 2013年大会予選はフランスのサッカー史に汚点を残した。ラファエル・バラン、アントワン・グリエズマンというワールドカップ優勝メンバーに加え、エリアキム・マンガラ、レミ・カベラ、アレクサンドル・ラカゼットというメンバーでグループリーグで圧倒的な強さを示し、無失点で7連勝、首位を確定した最終戦のアウエーのスロバキア戦こそ敗れたが、プレーオフに駒を進めた。
 プレーオフの相手はグループリーグで2位にとどまったノルウェーであった。プレーオフの第1戦は2012年10月12日にフランスのルアーブルで行われ、バランのヘディングシュートで1-0で先勝した。スコアこそ最少得点であったが、一方的な内容で、安定した守備力を考えれば4大会ぶりの本大会出場は確実と思われた。ところが、16日にノルウェーで行われた試合はノルウェーが5-3と制し、2試合通算スコア5-4のノルウェーが15年ぶりの本大会出場を決めたのである。実はこのノルウェーでの第2戦の3日前、フランス代表の選手のうち5人がパリのナイトクラブに出かけていたことが発覚したのである。5人中4人は第2戦にも出場しており、5人は長期にわたる出場停止処分を受けた。その中の1人がグリエズマンであった。
 この不祥事が尾を引いたのか、世界王者の主力となる世代は欧州の舞台にのぼることができなかったのである。(続く)

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