第2393回 U-21欧州選手権本大会出場権獲得(5) 豊富な人材で8連勝、7大会ぶりに本大会出場

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■GKのポール・ベルナルドーニ、守備の要は主将のアブドゥ・ディアロ

 U-21欧州選手権では6大会連続で本大会出場を逃していたフランス、2019年大会予選は開幕から7連勝と好調である。この快進撃を支えている主なメンバーを紹介しよう。
 GKのポール・ベルナルドーニはパリ近郊で生まれ、トロワでプロ契約を行い、その後フランス代表にも選出されたことのあるセドリック・カラッソが負傷したボルドーへ移籍、カラッソの復帰に伴い、クレルモンにレンタル移籍し、昨季は2部の最優秀GKに選ばれ、現在はニームに所蔵している。2016年にはU-19欧州選手権の優勝メンバーとなっている。
 DFには今回のワールドカップで活躍したルカ・エルナンデス、バンジャマン・パバールも名を連ねたことがあるが、卒業し、守備の軸となったのはドイツのマインツから今季ドルトムントに移籍したアブドゥ・ディアロであり、主将も務めている。

■中盤を支えるのはリヨンの選手たち

 中盤を支えるのはルカ・トゥサール、タンギ・エンドンベレ、マルタン・テリエのリヨンのトリオである。トゥサールはU-20時代には日本と対戦し、2得点をあげたことから日本のファンの皆様は良くご存じの選手であろう。リヨンではほぼ全試合に出場しているほか、2016年のU-19欧州選手権では主将としてチームをリードし、決勝のイタリア戦では得点をあげ、優勝トロフィーを掲げている。エンドンベレは2部時代のアミアンでプロとしてデビューしたが、プロ初年から活躍し、アミアンの1部昇格に貢献している。テリエは左サイドのウィングとしてゴールを量産し、この予選で7得点をあげている。またパリサンジェルマン育ちのクリストファー・エンクンクも名を連ねる。
 攻撃陣はリールのジョナタン・バンバ、スコットランドのセルチックからリヨンに移籍してきたムーサ・ダンベレ、セルチックのオリビエ・ヌチャム、そしてドイツのRBライプチヒのジャン・ケビン・オーギュスタンなどが名を連ねる。ただ、オーギュスタンは疲労を理由に9月の予選には招集されたもののチームに加わることを拒否し、物議をかもした。

■チームを率いるシルバン・リポル

 そしてチームを率いるのがシルバン・リポルである。DFとして現役時代はロリアンでプレーし、引退後はロリアンのコーチ、監督を務め、2017年5月にU-21フランス代表の監督となり、2019年の欧州選手権、そして2020年の東京オリンピックを目指すことになった。
 U-20欧州選手権こそ出場を逃し続けているものの、この世代は2年前にはU-19欧州選手権で優勝し、その翌年の2017年に韓国で行われたU-20ワールドカップにも出場している。
 今回も同様にU-21欧州選手権で上位に入り、東京オリンピックへ続く道を進みたいところである。

■ムーサ・ダンベレのゴールで勝利、イタリア経由で東京へ

 王手をかけたフランスは9月7日ブルガリアとのアウエーゲームに臨む。タレント豊富なフランスはこの予選での得点数がチームトップのテリエですらベンチスタートとなる。観衆わずか500人という試合であったが、フランスは57分にダンベレが決勝点をあげて、1-0と勝利、8連勝を飾り、本大会出場を決める。
 さて、この世代には忘れてはならない選手がいる。1998年12月生まれのキリアン・ムバッペである。ムバッペは2016年のU-19欧州選手権に17歳で出場、6得点で大会得点王となったオーギュスタンに次ぐ5得点をあげて優勝に貢献している。2017年の5月から6月にかけて韓国で行われたU-20ワールドカップはリーグ優勝を果たしたモナコの主力選手であったため、参加しなかったが、ムバッペが出場していれば、2013年大会に次ぐ2回目の優勝も夢ではなかったであろう。
 7大会ぶりの出場となるU-21欧州選手権は来年6月にイタリアで開催される。イタリアと言っても北部イタリア5都市とサンマリノが会場となる。小国のサンマリノでこのような国際大会が行われることは初めてである。この大会で準決勝に進出すれば東京オリンピックへのチケットが手に入るのである。若きフランス代表の健闘を期待したい。(この項、終わり)

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