第2402回 アイスランドと親善試合(3) 残り4分で2点をあげ、ドローに持ち込む
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス代表史上最多の観客を集めた前日練習
ワールドカップ優勝後、国内で初めての地方での試合となったアイスランド戦。試合が行われるギャンガンのルドルー競技場では試合の前日に公開練習が行われ、16,400人の観衆が集まった。この数字は公開練習としてはフランス代表の最多観客動員となり、スタンドのボルテージは試合でもないのに最高潮となった。この満員の観客の前に現れたフランス代表のメンバーは、7月に獲得したワールドカップをお披露目したのである。
■先発11人中10人はワールドカップメンバー
23人のメンバーのうち、ワールドカップ優勝メンバーは18人、5人が外れたが、うち3人は負傷、代表から引退したのはアディル・ラミの1人だけであり、監督の選択によってメンバーから外れたのはバンジャマン・マンディだけである。そして入れ替わったメンバーも5人中4人はワールドカップのバックアップメンバーであり、新人は1人だけである。
親善試合とあって、どのようなメンバーをディディエ・デシャン監督が並べるか、注目を集めたが、システムは従来通りの4-2-3-1システム、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、守備的なMFは右にスティーブン・エンゾンジ、左にポール・ポグバとなる。攻撃的MFは右にフローリアン・トーバン、左にウスマン・ダンベレ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWは1トップでオリビエ・ジルーとなった。
ワールドカップメンバー以外では左サイドのディーニュが唯一の先発となり、ワールドカップでは控えメンバーであったトーバン、ダンベレ、エンゾンジという中盤の選手がどれだけ通用するかを、デシャン監督としても見極めたいところであろう。
■不振が続き、監督が交代したアイスランド
一方のアイスランドであるが、2016年の欧州選手権に続き、今年のワールドカップも初出場を果たしている。グループリーグ初戦でアルゼンチンと引き分けたものの、ナイジェリアに敗れ、クロアチアには試合終了間際に決勝点を許して敗れ、1分2敗で最下位に終わり、欧州選手権の再現とはならなかった。そればかりか、今年に入ってからの戦績は2分7敗と1勝もしておらず、世界ランキングも今年2月に同国最高の18位を記録したが、現在は36位まで落ちている。8月には2013年以来5年にわたってチームを率いてきたヘイミル・ハルグリムソンに代わってスウェーデン代表監督を7年にわたって務めたこともあるエリック・ハムレンが指揮を執ることになった。
■アイスランドが2点を先行、最後の4分に2点をあげたフランス
不振のアイスランドであるが、先発メンバー11人のうち10人はフランス同様ワールドカップに出場したメンバーである。試合はこれまでの戦績からは考えられない展開となった。フランスが圧倒的なボール支配率を誇るが、アイスランドも少ないチャンスをいかしてシュートまでつなげる。両チームのシュートの応酬の中で先制点をあげたのはアイスランド、30分にビルキル・ビャルナソンが右コーナー付近からのクロスに右足で合わせて先制点をあげる。
ハーフタイムをはさんでフランスもトーバン、ダンベレなどが惜しいシュートを放つ。しかしながら2点目はまたアイスランドであった。58分にはチーム最年長のカリ・アルナソンがCKからヘディングでゴールをあげ、フランスは2点のビハインドとなる。
2012年に親善試合で対戦した時もフランスは2点をリードされたが、3点を奪って逆転勝ちした。67分にはポグバに代えてタンギ・ヌドンベレを投入、ヌドンベレはリヨンの選手として56番目の代表戦に出場した選手となった。しかしなかなか得点は入らず、ギャンガンのファンも不安を抱く。しかし、86分、ヌドンベレがムバッペに向けて送ったパスがアイスランドのDFのオウンゴールを誘う。さらに89分にはアイスランドの選手がペナルティエリア内でハンド、このPKを途中出場のキリアン・ムバッペが決めてフランスは同点に追いついた。アディショナルタイムは4分あったが、勝ち越し点はならず。新戦力のヌドンベレの活躍を収穫に、ドイツ戦に向かうのである。(この項、終わり)