第2497回 地元開催の女子ワールドカップ、メンバー発表 (1) 代表を率いるコリンヌ・ディアクル監督
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■8回目にしてフランスで開催される女子ワールドカップ
今年は奇数年であり、ワールドカップ、欧州選手権は行われないが、ラグビーワールドカップの同年であり、女子ワールドカップが開催される。1991年に女子世界選手権として始まったこの大会は1999年からは女子ワールドカップとなり、オリンピックと並んで多くの関心を集める大会となった。
今年は第8回大会が開催されるがフランスが開催国となる。ワールドカップ、オリンピック、欧州選手権というメガスポーツイベントは創成期にフランスで開催されていたが、女子ワールドカップはサッカーの普及ということに加え、当時の女子サッカーにおいて人気、実力を誇っていた中国や米国での開催が多かった。これまでに欧州での開催は第2回の1995年大会のスウェーデン、そして第6回の2015年大会のドイツ、ようやく8回目の開催にしてフランスにやってきた。
■2010年代になって世界で活躍をするフランス代表
そのフランスの女子サッカーであるが、これまでにワールドカップに出場したのは3回しかない。最初は2003年の米国大会、この時はグループリーグで敗退している。フランスの女子サッカーが代わったのは2007年にブルーノ・ビニが監督に就任してからである。2011年ワールドカップでは4位になり、2012年のロンドンオリンピックでも4位となる。2013年にはかつての名GKのフィリップ・ベルジュローが監督となり、2015年のワールドカップカナダ大会では準々決勝進出、2016年のリオデジャネイロオリンピックでも準々決勝進出と安定した力を出すようになってきた。
■2017年に監督に就任したコリンヌ・ディアクル
2016年にオリビエ・エシュアフニが監督を務め、2017年には女性のコリンヌ・ディアクルが監督に就任し、現在に至っている。2007年まで10年間、代表監督を務めたエリザベット・ロワゼル以来10年ぶりの女性監督であったが、ディアクルの経歴はユニークである。
12年間にわたって代表チームのメンバーで主将も務めたことに加え、引退後は指導者の道を歩み、まず女子サッカーのソワイオーの監督を務めたが、2014年から昨年代表チームの監督に就任するまで2部のクレルモンの監督を務めていたのである。2部で下位に低迷していたチームを就任初年度には12位まで引き上げる。そして翌シーズンにチームを7位に躍進させ、2部の最優秀監督に輝く。戦術家であるとともに激しい闘志を燃やすタイプであり、男性選手ばかりのロッカールームでも的確な指示を出すことのできる選手である。実は2016年のリオデジャネイロオリンピックの直後にベルジュローが退任した時に代表監督のオファーがあったが、シーズンがちょうど始まったところであり、そのオファーを拒否して3年目のシーズンを戦ったのである。3年目は12位に終わったものの、クレルモンのファンは拍手でディアクルを代表へと送り出したのである。
■地元開催で初優勝を狙うフランス代表
代表OGの監督のディアクルが最初に戦うビッグタイトルが地元開催のワールドカップである。第8回のワールドカップの開催国は最終的にはフランスと韓国の間で争われ、2015年3月にフランス開催が決定する。フランス開催決定後の代表チームはワールドカップとオリンピックでそれぞれ準々決勝進出、優勝を狙いたいところである。ディアクル就任以降のフランス代表の成績は2017年に行われた欧州選手権で準々決勝進出、この2年間の成績は21戦して15勝3分3敗であり、現時点での世界ランキングも3位である。
この数字を見てわかるとおり、実力があるが大会では不運な敗退が多いという点はかつての男子の代表と似ている。フランスの男子が国際大会で初優勝をつかんだのは1984年の欧州選手権、1998年のワールドカップといずれも地元開催の大会であった。
さて、ディアクル率いる女子のフランス代表はこれまでつかめなかった栄光を地元でつかむことができるのであろうか。(続く)