第2512回 女子ワールドカップ開幕前の親善試合(1) 控えメンバー中心の陣容でタイに勝利
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アベック優勝を狙うフランス
今年フランスで開催される最大のサッカー大会となった女子ワールドカップが6月7日に開幕した。本連載では第2497回と第2498回で23人のメンバーを紹介したが、フランスは昨年の男子に次ぐ優勝を狙っている。
男女のワールドカップは開催年が異なるが、男女とも優勝経験のある国はドイツだけである。しかし、ドイツの優勝は2003年大会と2007年大会であり、男女ともタイトルホルダーになった期間はない。フランスが狙うのは史上初のアベック優勝である。
■東京オリンピックの出場権もかかる欧州勢
また、欧州連盟に所属する国にとっては、この大会の成績で欧州から3チームが来年の東京オリンピックに出場できる。女子ワールドカップが東京オリンピックの予選を兼ねているのは欧州連盟所属国だけであり、そういう観点からも興味深い戦いである。ちなみに欧州諸国の最新の世界ランキングは最上位は2位のドイツ、続いて3位にドイツ、4位にフランスが入り、フランスは欧州で3番手である。
■韓国戦の必勝を期して、直前にタイ、中国と親善試合
フランスはコリンヌ・ディアクル監督の下でクレールフォンテーヌで合宿を重ね、開幕を迎える。この大会は24か国が参加、4チームずつ6つのグループに分かれてグループリーグを戦い、2位までの12チームと、3位の中で成績の良い4チームの合計16チームが決勝トーナメントに進む。フランスは開催国であることからグループAの第1シードとなる。グループAには第2シードとしてノルウェー、第3シードから韓国、第4シードからナイジェリアが入り、フランスは6月7日にパルク・デ・プランスで韓国、12日にニースでノルウェー、17日にレンヌでナイジェリアと対戦する。韓国戦に勝利すれば、決勝トーナメント進出の可能性は高くなるため、ディアクル監督は監督戦必勝を期して大会直前の親善試合のマッチメイクを行う。
5月25日にタイ、31日に中国と対戦する。両国とも本大会に出場する国である。タイは世界ランキング39位であるが、アジアから豪州、日本、韓国、中国という常連国に交じって前回の2015年大会に続く2回目の出場となる。そして中国は最近は精彩を欠き、世界ランキングは16位にとどまっているものの、女子サッカーを牽引して来た国である。
■主将エリーズ・ビュサグリアが先制点、タイに3-0と勝利
タイとはオルレアンで対戦した。タイはグループFで米国、スウェーデン、チリと対戦する。米国、スウェーデンという格上のチームから勝ち点をあげないことには決勝トーナメントには残れない。そういう意味でフランスに善戦しておきたいところである。フランスは初対決となるタイに対し、代表187試合目で主将を務めるエリーズ・ビュサグリア、同じく155試合目のガエタン・ティネというベテランは出場したものの、経験の浅い選手を並べた。前半からフランスは一方的に試合を支配する。代表18試合目のバレリー・ゴーバン、ティネ、ビュサグリアがシュートを放つものの、得点には至らずハーフタイムを迎える。
後半に入ってフランスの最初の選手交代はエメリン・ローランであった。これまで代表歴はわずか3試合であり、有力と思われたフランスリーグの得点王のマリー・アントワネット・カトトをおさえての代表入りは議論となった。しかし、ローランは得点を決めることができない。フランスの先制点は61分、ベテランのビュサグリアが決める。ビュサグリアは代表30得点目となる。ビュサグリアは得点を決めた直後の64分にピッチを去り、キャプテンマークをエブ・ペリッセに渡す。ペリッセは初めてのキャプテンマークとなる。そしてビュサグリアと入れ替わって途中出場してきたカディディアトゥ・ディアニが78分と86分に連続ゴールをあげ、フランスが3-0と勝利する。控えのメンバー中心のチームでも力の離れた相手には勝利できることを示したのである。(続く)