第2526回 フランス男子、24年ぶりにオリンピック出場(3) 試合終了間際の逆転でイングランドに勝利

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■上位4チームにオリンピックが与えられる21歳以下の欧州選手権

 フランスにとって21歳以下の欧州選手権は13年ぶりの出場となる。13年前のメンバーはほぼ半数がその後フル代表に選出されたが、バカリ・サーニャ、ラッサナ・ディアラ、ヨアン・グルクフ、リオ・マブーバという懐かしい名前が並ぶ。昨年のワールドカップ優勝メンバーに残ったのはGKのスティーブ・マンダンダだけである。
 イタリアの北東部とサンマリノで行われる21歳以下の欧州選手権は12チームが参加する。4チームずつのグループリーグを行い、各グループの首位の3チームと2位チームの中で最も成績の良かった1チームが決勝トーナメントに進出するが、この4チームに来年の東京オリンピックの出場権が与えられる。

■イングランド、クロアチア、ルーマニアの順に対戦

 過去3大会の本予選の結果からシード分けが行われ、フランスは今大会の予選が好成績であったことから第2シードに滑り込んだ。組み分け抽選の結果、フランスはグループCに入る。このグループでフランスは、第1シードのイングランド、シード外のルーマニア、クロアチアと戦う。この大会常連のイングランドが最有力、それを追うのがフランスで、1998年大会以来の出場となるルーマニア、2004年大会から遠ざかっていたクロアチアがやや力が劣るとみられていた。フランスは6月18日に行われる初戦のイングランド戦で引き分け以上の成績を狙い、引き分けだった場合は続くクロアチア戦、ルーマニア戦での得失点差にかけるというシナリオである。
 フランスは昨年の10月に親善試合でトルコに勝利したのを最後に4分1敗と5試合連続で勝利を得られず、5月のメンバー発表を迎えた。メンバー決定後勝ちがなく、と本大会の前に他のグループに入った国と親善試合を2試合行う。6月3日にグループAのベルギーとルマン、10日にはオーストリア国内でオーストリアと対戦した。ベルギー戦は3-0と完勝し、8か月ぶりの勝利となったが、大会前最後のテストとなるオーストリア戦は先制され、一旦は追いついたものの、2点を奪われ、1-3と敗れてしまい、主将のアブドゥ・ディアロとエースのマルタン・テリエ不在によるチーム力の低下という不安の中で本大会を迎えた。

■イングランド相手に守勢の展開、リードを許す

 チェゼーナで行われたイングランド戦、白いユニフォームのイングランドが優勢に試合を進める。イングランドのメンバーにはすでにフル代表でプレーした経験のある選手もいる。立ち上がりからフランスは押し込まれ、14分にはDFのイブラヒマ・コナテがオウンゴール後思われたが、ポストに救われる。フランスは前半はイングランドの攻撃をしのぎ、何とか両チーム無得点で後半を迎えたが、54分にイングランドはフィル・フォーデンがドリブルでフランスの選手を次々と抜き去り、そのままシュート、マンチェスター出身でマンチェスター・シティに所属する19歳の若者のゴールでイングランドは1点をリードした。

■試合終了間際に同点、アディショナルタイムに相手のオウンゴールで逆転勝利

 試合はこのままイングランドがリードを保ったまま終盤を迎える。この試合で負けたチームのオリンピック出場の可能性はかなり低くなる。時計の針が間もなく90分となる89分、この試合でしばしばよい動きをしていたジョナタン・イコネが同点ゴールを奪う。これでフランスにもオリンピックの聖火が見えてきた。そしてアディショナルタイムに入って95分、フランスは相手のゴール前でジャン・フィリップ・マテタがアクロバティックな動きでボールを操る。このボールをイングランドのアーロン・ワン・ビサカが自らのゴールに誤って入れてしまう。後半の終了間際に同点、アディショナルタイムに勝ち越し点、2004年の欧州選手権の初戦のイングランド戦と全く同じ展開である。逆転勝利を収めたフランスが勝ち点3を獲得し、オリンピック出場に大きく前進したのである。(続く)

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