第2527回 フランス男子、24年ぶりにオリンピック出場(4) クロアチアに勝利、首位をかけてルーマニア戦
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ルーマニアの英雄、ゲオルゲ・ハジ
第1シードのイングランドに終了間際に逆転したフランス、一気にオリンピック出場が見えてきた。男子はこの21歳以下の欧州選手権、女子はワールドカップが来年のオリンピックの予選となるが、男子がイングランドに勝利した段階で女子はグループリーグを首位で通過し、決勝トーナメントに向けてチームのギアを高めているところである。
グループCはフランス、イングランド、クロアチアとフル代表が昨年のワールドカップで準決勝に進出したチームが3つそろった。その中で最有力と見られたイングランドをフランスは下したが、グループAのもう1試合はサンマリノで行われたルーマニアとクロアチアの東欧勢対決である。昨年のワールドカップで決勝に進出したクロアチアに対し、ルーマニアはこのところ国際舞台では目立たない。しかし、ルーマニアが立ち上がりから猛ラッシュをかける。11分には新シーズンからイタリアのインテルミラノで活躍するゲオルゲ・プシュカシュがPKで先制する。そして14分にはヤニス・ハジが追加点をあげる。名前を見てお分かりの通り、かつてルーマニアのサッカー界のスターであったゲオルゲ・ハジの息子である。父親は東欧のマラドーナというニックネームで1990年代に活躍し、1990年イタリア、1994年米国、1998年フランスとルーマニアを3度のワールドカップ本大会出場へと導いた。
■ヤニス・ハジの活躍でクロアチアに大勝したルーマニア
しかし、その後ルーマニアはワールドカップ出場から遠ざかっている。この21歳以下の欧州選手権についても1998年以来の出場、今回が初出場となるオーストリアを除くと最も長いブランクである。そのようなルーマニアの状況を勘案するならば、国民の期待がハジの二世に集まるのも無理はない。そしてハジは国民の期待に見事にこたえる。ルーマニアは後半に1点を追加し、アディショナルタイムにもビデオ判定で4点目を決める。クロアチアは前半に1点を返しただけであり、ルーマニアは4-1と大差でクロアチアを下した。
フランスの第2戦はサンマリノでクロアチアと対戦する。第2戦は21日に行われたが、フランスの試合前にグループCのもう1つの試合が行われ、ルーマニアはイングランドと対戦、75分まで両チーム無得点であったが、ここからゴールラッシュが始まり、ルーマニアはハジも得点をあげ、イングランドに4-2と勝利する。
■ムーサ・デンベレのゴールでクロアチアに勝利したフランス
ルーマニアが勝ち点を6に伸ばした後に、フランスの若きイレブンはキックオフを迎えるが、最終戦でルーマニアと対戦することを考えれば、フランスも勝ち点3にこだわりたい。フランスは8分にムーサ・デンベレがゴールを決める。デンベレはこの年代のチームで出場24試合目で13得点となる。13得点は2013年から2015年にこのカテゴリーのチームで活躍したセバスチャン・アレに並ぶ史上最多得点となる。その後もチャンスはあったものの、逃し続けたが、1-0というスコアで勝ち点3を獲得、得失点差では及ばないものの勝ち点ではルーマニアと並んだのである。
■最終戦は2勝同士のルーマニアとの直接対決
さて、第2戦までをすべてのチームが戦い終えたが、まだオリンピック出場を決めたチームはない。グループAはポーランドが2勝、イタリアとスペインが1勝1敗で追い、2敗のベルギーはグループリーグ敗退が確定した。グループBもグループAと同じ構造でドイツが2勝、デンマークとオーストリアが1勝1敗、そして2敗のセルビアは敗退が決まった。グループAとBは敗退した2敗のチーム以外すべてのチームにオリンピック出場の可能性がある。そしてフランスの所属するグループCはルーマニアとフランスが2勝でルーマニアが得失点差で上回り、首位をかけて最終戦で直接対決する。一方、イングランドとクロアチアは2敗で敗退が決定したのである。(続く)