第2539回 2019年アフリカ選手権(1) Jリーグから2人目の出場となったマイケル・オルンガ
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスのビアリッツサミットの直後に横浜で開催されるTICAD7
主要国の首脳が一堂に会するビアリッツサミットが目前に迫ってきた。フランスにおける今年最大の政治イベントがG7首脳会議であるならば、日本における今年最大の政治ベントはその直後に横浜で行われるTICAD7と呼ばれる第7回アフリカ開発会議であろう。日本においてアフリカに対する関心が高まっており、読者の方から今年のアフリカ選手権について取り上げてほしいというご要望を受けた。
■開催時期が欧州のシーズンオフになったアフリカ選手権
奇数年に行われているアフリカ選手権であるが、今回は大きな変更があった。それは開催時期の変更である。これまでは1月から2月にかけて行われてきたが、32回目となる今回からは6月下旬から7月中旬まで行われた。これはこの大会と欧州の関係に大きく影響している。
2012年までは偶数年に行われていたが、偶数年には欧州選手権、ワールドカップ、オリンピックが開催されるため、ファンの注目を分散させるために、2013年からは奇数年に開催している。そして従来の1月から2月は欧州ではシーズン中である。多くの選手は欧州のクラブに所属しており、アフリカ各国の協会から選手派遣の依頼が来た場合、各クラブは応じなくてはならず、欧州のクラブ、特にフランスのクラブは大きな影響を受けた。このことから、今回は欧州のシーズンオフとなる時期に開催された。そして同時期に男子は21歳以下の欧州選手権、女子はワールドカップと、そのタイトル自身も意味があるが、今年の場合は来年の東京オリンピックの予選を兼ねた大会が行われ、紹介の時期を逸してしまった。
■今回も87人と最大勢力のフランスのクラブ勢
そういうわけで、フランス国内ではオリンピック予選を兼ねた男女の代表チームに関心が集まったが、このアフリカ選手権も従前どおり注目を集めている。今回から24チームが本大会に出場し、登録選手数は550人を超えるが、そのうち87人はフランスのクラブに所属している。これは国別では最多であり、全体の15パーセントに相当する。なお、2位は南アフリカの46人、それに続くのがイングランドの43人、そして意外なところで4位はトルコの29人である。欧州五大リーグといわれるが、スペインは8番目の20人、ドイツは10番目の15人、そしてイタリアは11番目の14人である。いかにアフリカの選手がフランスリーグを選んでいるかがよくお分かりであろう。
ちなみに2年前は16チーム参加でフランスのクラブに所属していた選手は58人であり、この時の占有率は16パーセントであるから今回とほぼ同じである。
■Jリーグから2人目の出場となったケニアのマイケル・オルンガ
一方、冒頭に記載したアフリカ開発会議を主催している日本であるが、この大会に日本のクラブから選手を送ることは珍しかった。本連載の第1517回で紹介したが、ブルキナファソのウィルフリード・サヌーが2010年大会と2013年大会にエントリーしているだけである。2010年大会時は浦和レッズに所属していたが出場機会に恵まれず、京都サンガに移籍した2013年は決勝戦にも出場しており、20周年を迎えたJリーグの大きな成果となった。
そして今回は柏レイソルに所属しているマイケル・オルンガがケニア代表として選出されている。オルンガはケニアのクラブに所属していた2015年に代表に初選出されたが、その後、スウェーデン、中国、スペインのクラブを経由して昨年の夏に柏に移籍し、ケニア人として初めてのJリーガーとなった。
ケニアというとアフリカ開発会議の名誉大使となっているMISIAが初めて訪問したアフリカの国である。昨年秋のMISIAの名誉大使の委嘱と期を同じくしてケニア代表として日本のクラブアフリカとの結びつきを強めたい日本であるが、日本以外のアジアのクラブに所属している選手は27人もいる。多くは中東のクラブであり、東アジアのクラブに所属している選手は少ないが、アフリカ選手権に2人目の選手を送り出したJリーグが起爆剤となり、現在MISIAが進めている日本とアフリカの関係性を強めたいところである。(続く)