第2540回 2019年アフリカ選手権(2) 開催国エジプト、決勝トーナメント1回戦で敗退
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アフリカサッカー連盟の所在国のエジプトで開催
24か国に出場国が増えた今大会の開催国はエジプトである。アフリカサッカー連盟の所在地であり、アフリカの多くの国が1960年ごろに独立した中で、1922年独立と歴史を誇る。アフリカの古豪と呼ばれ、1960年代からは低迷が続いたが、今世紀になって復活、2006年以降3回の優勝を誇る。カイロなど北東部の4都市の6会場で大会が繰り広げられた。
■24チーム中16チームが決勝トーナメント進出、ケニアは敗退
4チームずつ6つのグループリーグで争われ、各グループの上位2チームと3位チームの中で好成績の4チーム、合わせて16チームが決勝トーナメントに進出した。
まず、グループリーグの結果であるが、上位2チームはグループAはエジプトとウガンダ、グループBはマダガスカルとナイジェリア、グループCはアルジェリアとセネガル、グループDはモロッコとコートジボワール、グループEはマリとチュニジア、グループFはガーナとカメルーンが入り、その他に3位チームで決勝トーナメントに進出したのはグループAのコンゴ民主人民共和国、グループBのギニア、グループDの南アフリカ、グループFのベナンとなった。
前回の本連載で紹介した唯一のJリーガーのマイケル・オルンガを擁するケニアであるが、グループCに所属し、タンザニア戦ではオルンガの2ゴールなどにより勝利したが、アルジェリア、セネガルに完封負けし、3位にとどまった。決勝トーナメント進出争いでは4か国が勝ち点3で並んだが、得失点差が-4であり、唯一敗退となった。
上位シード国は決勝トーナメントに進出した。開催国のエジプトは3戦全勝で首位通過、他に3戦全勝はアルジェリアとモロッコと北アフリカ勢が好調であった。一方、本大会初出場で下位シードのマダガスカルの首位突破は驚きを与えた。今大会が初出場という国はマダガスカル以外にはブルンジ、モーリタニアの2か国だったが、いずれもグループリーグ最下位で敗退している。
■決勝トーナメント1回戦を勝ち抜いたアルジェリア、チュニジア、マダガスカル
グループリーグでは強豪国が順当に勝利したかに見えたが、決勝トーナメントでは序盤に波乱が起こった。まず、決勝トーナメント1回戦の初戦はモロッコと3位通過のベナン、ベナンが先行し、モロッコが追いつき、試合は延長戦へ突入する。延長戦でも両チーム無得点でPK戦となる。PK戦では先蹴のベナンが4人連続で成功させたのに対し、モロッコは2人目、3人目と失敗し、モロッコは姿を消す。この敗戦が第2536回で紹介したバヒッド・ハリルホジッチの監督招聘へとつながっていくのである。
一方、そのハリルホジッチがかつて指揮を執り、チームの基盤を作ったアルジェリアはギニアを3-0と寄せ付けず、グループリーグから4戦連続完封勝利している。
また、この決勝トーナメント1回戦の段階でガーナ-チュニジア、マリ-コートジボワール、ナイジェリア-カメルーン、という近年のワールドカップ出場国の対戦もあった。チュニジアはガーナに後半のアディショナルタイムに追いつかれたが、PK戦で勝利、コートジボワールは終盤に決勝点をあげてマリを下し、ナイジェリアはカメルーンに3-2で逆転勝ちしている。
初出場のマダガスカルはコンゴ民主共和国と対戦、2たび追いつかれて延長戦へ、そしてPK戦で競り勝ち、ミラクルチームとなった。
■開催国エジプト、決勝トーナメント1回戦で南アフリカに敗れる
そして最大の驚きであり悲しみは開催国エジプトの敗退であろう。エジプトの相手の南アフリカはグループDの3位、1勝2敗、得失点差は-1、3位チームによる決勝トーナメント争いでは再開で滑り込んでいる。すなわち、決勝トーナメント進出国の中で16番目の位置にある。エジプトにとっては願ったりかなったりの対戦相手であり、メイン会場の回路の国際競技場には7万5000人の大観衆が集まる。この試合で85分に南アフリカに決勝点を奪われ、エジプトは敗退してしまったのである。(続く)