第2542回 2019年アフリカ選手権(4) 決勝はセネガル-アルジェリア
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスの革命記念日に行われた準決勝
アフリカ選手権の四強はセネガル、チュニジア、ナイジェリア、アルジェリアとなり、マグレブ諸国と中央アフリカから2チームずつが残った。そして準決勝、3位決定戦、決勝はカイロ並びその近郊の3つの競技場で行われた。
準決勝の組み合わせはセネガル-チュニジア、アルジェリア-ナイジェリアとマグレブ勢対中央アフリカ勢の顔合わせ、フランスの革命記念日である7月14日に行われた。4か国中3か国はフランスから独立した国であり、この日はフランス国内でも多くの人がテレビの前で応援した。
■両チームがPKを失敗し、延長戦となったセネガル-チュニジア戦
第1試合のセネガル-チュニジア戦はアレキサンドリアの6月30日競技場でキックオフ。セネガルは2002年以来、チュニジアは2004年以来の準決勝となる。セネガルの監督はアルー・シセ、チュニジアの監督はアラン・ジレス、2人ともフランスのクラブで活躍したかつての名選手である。試合は拮抗した内容となった。前半に決定的なチャンスを多く得たのはセネガルであった。26分にユスフ・サバリの放ったシュートはポストに当たったが、ゴールならず。さらにエースのサディオ・マネが38分にドリブルで果敢に攻め込むが、ゴールを決めることができなかった。
後半に入ってチュニジアが攻勢に出る。後半開始早々に立て続けにシュートを浴びせる。そして73分、セネガルのDFが自陣ペナルティエリア内でチュニジアのフェルジャニ・サッシのシュートを防ごうとタックル、ここでセネガルの選手の腕のボールが当たり、判定はハンドとなる。サッシがPKを蹴るが、力のないシュートとなる。セネガルのGKアルフレッド・ゴミが難なくボールをキャッチする。そして78分、今度はセネガルのイスマイラ・サールがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得する。セネガルのキッカーはアンリ・サイブ、しかしこのPKもチュニジアのGKのムエズ・アッセンにキャッチされ、わずか5分の間に両チームがPKをGKにキャッチされるという珍しい展開となった。そして80分過ぎからは両チームが攻めあうが得点ならず、両チームのPKの失敗により、試合は延長戦となる。
■決勝点はオウンゴール、セネガルが決勝に進出
延長戦に入っても両チームの打ち合いが続く。そして、この試合最初の得点は思わぬ形で記録された。延長前半の100分、セネガルは右サイドからサイブがFKを蹴る。ゴール前に上がったボールをチュニジアのDFのディラン・ブロンが自らのゴールに蹴りこんでしまう。GKのアッセンも反応するが及ばず、痛恨のオウンゴールとなる。そして延長後半の113分にセネガルの選手にハンドがあったとして主審はチュニジアにPKを与えるが、VARの結果、PKは取り消しとなる。セネガルは1-0でチュニジアを下し決勝に進出した。
■後半アディショナルタイムに勝ち越し点をあげたアルジェリア
準決勝の第2試合はメイン会場のカイロ国際競技場でアルジェリアとナイジェリアの間で争われた。かつてフランスのクラブで活躍したジャメル・ベルマディ監督率いるアルジェリアは2010年大会以来の準決勝進出、そしてボルドーの一員として訪日したこともあるゲルノト・ロールが監督を務めるナイジェリアは優勝した2013年大会以来の準決勝である。
この試合もしびれる展開となった。40分にナイジェリアのストッパーのウィリアム・トルースト・エコングがオウンゴール、アルジェリアが1点リードする。
後半に入って67分、アルジェリアのアイッサ・マンディが自陣のペナルティエリア内でハンド、VARのプロセスも経て、長い中断の後に主審はPKを確認する。ナイジェリアのオディオン・イガロがPKを決めて同点に追いつく。イガロはこれで通算4点目となり得点王争いのトップに立つ。PKに至るまでの長い中断が後半のアディショナルタイムを長いものとする。95分にアルジェリアのリヤド・マフレズが決勝点をあげる。ナイジェリアを2-1と振り切ったアルジェリアは優勝した1990年大会以来の決勝進出を決めたのである。(続く)