第2859回 25年ぶりのオリンピック(3) ようやくそろった18人のメンバー

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6月末に発表した18人のメンバーに各クラブが反発

 5月中旬に50人のプレリストを発表したオリンピック代表、6月25日に18人のメンバーを発表した。この18人の中にはキリアン・ムバッペ、ジュール・クンデ、ムーサ・ダンベレ、マルクス・テュラムという欧州選手権に出場しているメンバーの名はない。そしてこれまでにフル代表入りしているダヨ・ウパメカノの名前もなかった。一方、これまでにフル代表の経験があるのはレンヌのエドゥアルド・カマビンガ、リールのリーグ優勝に貢献したジョナタン・イコネの2人である。また、オーバーエイジ枠についても、前回の本連載で紹介したピエール・アンドレ・ジニャック、ジニャックと同じメキシコのティグレスにこのたび移籍したフローリアン・トーバンというフランス代表経験者、そして、モンペリエのテジ・サバニエの3人がリストアップされた。そして18人のうち、国外のクラブに所属しているのはティグリス以外にイングランド、ドイツ、イタリアのクラブに所属する4人を含む6人であった。
 この陣容は、各クラブの意向を尊重し、遠慮したメンバー構成であると思われたが、それでも、各クラブからの反発があった。

■大幅に入れ替えたメンバーを7月初旬に再発表

 これを受けてフランス連盟はメンバーを大幅に見直し、7月2日に新たなリストを発表した。6月のリストから8人がリストから消え、予備メンバーを含む11人を追加し、21人からなる。
 リストから消えたのはカマビンガ、イコネという代表経験者、そしてイングランドのクラブに所属していたウィリアン・サリバとマラング・サールなどである。また、オーバーエイジ枠3人については2人がメキシコリーグに所属していたこと、モンペリエのサバニエに関してはシルバン・リポル監督が直接会長のニコランと交渉したことから維持することができた。
 21人のメンバーは下記のとおりである。GKはステファン・バジッチ、ポール・ベルナルドーニ、ディミトリ・ベルトー、DFはメルヴィン・バール、アントニー・カーチ、イスマエル・ドゥクレ、ピエール・カルル、クレマン・ミシュラン、ティモテー・ペンベレ、モディボ・サニャン、MFはアレクシス・ベカ・ベカ、ジェレミー・ジェラン、エンゾ・ル・フィー、サバニエ、トーバン、ルカ・トゥザール、FWはジニャック、ランダル・コロ・ムアニ、イザーク・リハジ、ナタナエル・ムブク、アルノー・ノルディンとなった。この中でGKのベルトーとFWのリハジは他のメンバーに負傷等があった場合のみ、東京に派遣するという条件付きである。ベルトーはモンペリエ所属であり、オーバーエイジ枠のサバニエとの兼ね合いもあるであろう。

■所属クラブでも実績の少ない選手を選出

 国外のクラブに所属しているのはオーバーエイジの2人以外にはイタリアのACミランのカルル、スペインのレアル・ソシエダのサニャン、ドイツのヘルタ・ベルリンのトゥザールの3人であるが、いずれもチームでは試合出場機会には恵まれていない。リヨンで活躍したトゥザール以外はアンダーエイジの代表チームでの実績も乏しく、かなり苦労した人選となっている。また、キリアン・ムバッペなど国内外のオリンピックチームへの選手の供出を拒否したパリサンジェルマンであるが、18歳のペンベレを派遣することになった。年代別代表の常連ではあるが、昨年プロ契約を結んだばかりで、トップチームでの出場試合数はまだ一桁である。

■予選経験者はわずか3人

 フランスは大会前に韓国と親善試合を行う。この試合で多くの選手がオリンピック代表デビューを経験することとなった。そして、最終エントリーの18人のメンバーはもともと東京には派遣しないというクラブとの取り決めのあったベルトー、リハジとジェランが外れることとなった。18人のうち、予選である2019年の21歳以下の欧州選手権のメンバーだったのはベルナルドーニ、カーチ、トゥザールの3人だけであった。苦心の末のメンバー決定となったのである。(続く)

このページのTOPへ