第2943回 2022年アフリカ選手権開幕(1) 開催国が変更、開催時期も変更、さらに1年遅れで開催

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■前回大会から2年半のブランクのあるアフリカ選手権

 新型コロナウイスルの感染拡大に翻弄されて2年となる。度重なる流行の波の中、オミクロン株により、欧米ではこれまでないほどの新規感染者数を記録している。一方、この2年間の経験をもとに、サッカーの世界では日常を取り戻しつつある。延期になった大会も開催されたが、その最後となるのが、今回から紹介するアフリカ選手権であろう。
 これまでもアフリカ選手権は本連載で紹介してきたが、2019年6月から7月にかけてエジプトで開催された第32回大会について本連載第2539回から第2545回で取り上げたのを最後に2年半近くブランクがある。

■欧州のシーズンオフ期間中の開催は前回大会のみ、開催時期が再び冬に変更

 アフリカ選手権についてはその競技面のレベル、フランスをはじめとする欧州とのつながりに焦点を当てることが多かったが、大会運営上の混乱についても紹介することの多い大会である。2年半のブランクも大会運営上の混乱に起因することが理由である。2013年以降は奇数年の1月から2月にかけて行われていたアフリカ選手権であるが、前回大会は2019年6月から7月にかけて行われた。この理由はトップクラスの選手の多くが欧州のクラブに所属しており、彼らが所属クラブを離れることが問題となったため、欧州のリーグのシーズンオフに開催するようにしたからである。ただし、当初は2019年6月15日に開幕する予定であったが、ラマダン明けから十分な休息期間を取るために開幕を1週間遅らせたという背景がある。
 大会はアルジェリアの優勝で終わったが、開催時期が大会終了後に問題となった。欧州サッカーのシーズンオフに開催したが、夏場の開催をアフリカの地で行うことは選手に大きな負担を与えた。そのため、アフリカサッカー連盟(CAF)は次回大会は再び1月から2月にかけて行うことを2020年1月に決定した。国際大会の開催時期の変更は2022年のワールドカップ・カタール大会を従来の6月から7月開催から、11月から12月開催へと2015年にFIFAが決定した事例もある。それを受けて2019年のエジプト大会は開催時期を冬場から欧州サッカーのシーズンオフに変更したが、気候が理由で再び開催時期を変更したというのは皮肉な話である。

■さらに新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期

 開催季節を変更しただけにとどまらず、新型コロナウイルスの感染拡大によって再び開催時期が変更になった。2021年1月9日から2月6日まで開催する予定であったが、CAFは2020年6月に大会の1年延期を決定し、2022年1月に開催することを決定した。

■アフリカ選手権特有の開催国決定をめぐる混乱

 通常、大会の開催時期の変更は開催国には歓迎されないことであることは東京オリンピック・パラリンピックを開催した日本の皆様はよくお分かりであろうが、この大会開催時期の変更は開催国にとっては歓迎された。
 これはアフリカ選手権特有の開催国決定をめぐる混乱が起因している。2019年に開催された第32回のアフリカ選手権の開催国は当初はカメルーンであった。しかし、カメルーンにおける内乱の勃発、スタジアムなどの準備の遅れから前年の秋に開催国がエジプトに変更となったのである。また、当初2021年大会の開催国はコートジボワールであったが、2019年大会の開催国の座を奪われたカメルーンが2021年大会を開催、2023年大会をコートジボワールが開催と順を遅らせることになった。カメルーンとしては当初2019年に開催するアフリカ選手権が2年延期になった形となるが、治安の改善や準備は簡単にできるものではない。カメルーンでアフリカ選手権を開催するのは1972年の第8回大会以来のことであるが、当時はわずか8か国しか出場していなかったが、現在は24か国が出場している。16試合を2会場でまかなっていた半世紀前とは異なり、52試合を消化するために6都市7会場で熱戦が繰り広げられる。そのために、50年前とは大きく異なる準備が必要であり、延期が決定した時点での工事の進捗率は40%であった。
 このように開催するまでがすでにドラマであるアフリカ選手権、2022年1月9日に開幕したのである。(続く)

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