第2945回 2022年アフリカ選手権開幕(3) 初戦の強豪対決を制したモロッコ、ナイジェリア、マリ

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■上位シードされたワールドカップ3次予選に残っている9チーム

 前回の本連載ではカメルーンに集う24チームの顔ぶれについて紹介したが、第一集団と言えるワールドカップの3次予選出場チームを中心に大会が展開されるというのが、下馬評である。
 4チームずつ6つのグループに分かれてグループリーグを戦うが、この組み分けはFIFAランキングに従ってシード順が決まった。第1シードは開催国のカメルーンと前回優勝のアルジェリアの他、セネガル、チュニジア、モロッコ、ナイジェリアが入った。第2シードにはエジプト、ガーナ、コートジボワール、マリ、ブルキナファソ、ギニアが並ぶ。この12チームのうち、ワールドカップ3次予選に残っているのは第1シードの6チーム、そして第2シードからはエジプト、ガーナ、マリの9か国である。

■決勝トーナメント開始の前日に行われるワールドカップ3次予選の組み合わせ抽選

 ワールドカップ3次予選は3月下旬に行われるが、10チームを2つに分けて、ホームアンドアウエー形式で行われる。組み合わせ抽選はアフリカ選手権開催中の1月22日にカメルーンで行われる。抽選の行われる1月22日はちょうど決勝トーナメントの始まる前日にあたり、決勝トーナメント進出を決めて抽選会に臨みたいところである。一方、ワールドカップの夢が絶たれたチームはグループリーグでワールドカップ3次予選に残っているチームを倒したいところである。また、ワールドカップ3次予選に残りながら、唯一カメルーン入りしていないコンゴ民主共和国はワールドカップ3次予選の2試合に集中することになる。

■初戦に競り勝った第1シードのモロッコとナイジェリア

 さて、組み合わせ抽選のいたずらか、ワールドカップ3次予選に出場するチームが2つあるグループが3つあるが、これらのグループではいずれも初戦にワールドカップ3次予選に出場するチーム同士が対戦した。
 グループCではモロッコとガーナが対戦した。モロッコの先発メンバーにはナイーフ・アゲルド(レンヌ)、アクラフ・ハキミ(パリサンジェルマン)、アゼディヌ・ウナイ、ソフィアン・ブファル(以上アンジェ)、ガーナにはカマルディーン・スレマナ(レンヌ)アレクサンデル・ディク(ストラスブール)という合計6人のフランスリーグに所属する選手が名を連ねる。全員が1部リーグのクラブであり、両チームのレベルの高さを物語っている。第1シードのモロッコが優勢に試合を進め、ガーナのゴールにシュートを浴びせるが、前半は無得点で終わる。一方のガーナは前半はシュートなしで終わる。後半になっても試合はモロッコのペースであったが、なかなかガーナの守備を崩すことができず、得点をあげられない。一方のガーナは72分にスレマナがシュート、あわやというところであったが、モロッコのGKヤシン・ブヌがフィンセーブ。このままスコアレスドローかと思われたが、83分にブファルが右足でシュートを決める。この1点によりモロッコが初戦を白星で飾った。
 グループDではナイジェリアとエジプトが対戦した。ナイジェリアは大会前に5年間監督を務めたゲルノト・ロールを解任、エジプトは25回という最多出場を誇る。ナイジェリアは積極的な試合運びをし、前半にあげた得点でエジプトを下し、勝ち点3を獲得する。

■主審が2回にわたって時間前に試合終了の笛を吹いたチュニジア-マリ戦

 上記の2試合はいずれも第1シードのチームが勝利したが、最後のグループFのチュニジア-マリ戦は大荒れとなった。前半はマリが試合を優勢に進めたが、シュートの精度を欠き、両チーム無得点で折り返す。後半早々にチュニジアはペナルティエリア内でハンド、マリはイブラヒマ・コネが決めて先制点を奪う。ところが、この後2回PKになってもおかしくないケースがあったが、主審は反則を取らない。2回目はVARとなり、最終的にチュニジアにPKが与えられる。しかし、サンテチエンヌに所属するワビ・カズリのPKはマリのGKイブラヒム・ムンコロにパンチングで跳ね返される。チュニジアが1点を追う展開が続くが、86分に主審は試合終了の笛を吹く。チュニジアのベンチの抗議により、試合は再開して継続する。88分にはマリの選手がレッドカード、チュニジアが数的有利に立つ。ところが、89分に主審は再び試合終了のホイッスルを吹く。混乱の中で試合は終了、チュニジアは初戦を落としてしまったのである。(この項、終わり)

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