第2956回 セネガル、初優勝を飾る(2) 開催国カメルーン、初出場のガンビアを下す
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■グループリーグで2勝をあげて2位になったガンビア
アフリカ選手権の1回戦はチュニジアとエジプトが強豪対決を制し、カメルーン、セネガル、モロッコが順当に勝利し、赤道ギニアとブルキナファソがPK戦を制して準々決勝進出を決めたが、驚きはガンビアであろう。ガンビアは出場24か国中でFIFAランキング魔最も低い150位、早期敗退は確実と思われていたが、グループリーグでは2勝1分、優勝候補のチュニジアにも勝利し、堂々の2位となった。
■決勝トーナメント1回戦でギニアも破ったガンビア
決勝トーナメント1回戦の相手はギニアである。ギニアはグループBではセネガルに次いで2位、そのセネガルとは引き分けている。FIFAランキング81位のギニアは、前回大会は優勝したアルジェリアに決勝トーナメント1回戦で敗れ、過去4回の大会で初戦敗退が続いている。主将のナビー・ケイタを出場停止で欠くものの、今回は相手に恵まれたチャンスと思っているかもしれない。立ち上がりにクレルモンに所属するモハメド・バヨがシュートを放ったが、その後は、試合は互角の戦いとなる。38分にもバヨのシュートがガンビアのゴールを襲うが、先制点には至らない。ガンビアは組織的な守備でギニアの攻撃を防ぎ、前半を無失点におさえた。
後半はギニアが積極的にシュートを放つが、この試合最初の得点はガンビアであった。ゴール前でパスを受けたムサ・バロウはGKと一対一になり、冷静にシュートを決める。ギニアもその後ゴールネットを揺らすが、オフサイドでのノーゴール、後半アディショナルタイムに入ってからもギニアにPKが与えられるのではないかというプレーがあったが、主審は反応せず。逆にギニアは退場者を出してしまう。結局ガンビアが1-0と勝利し、初出場で準々決勝に進出した。
■準々決勝以降の2試合の会場が突然ドゥアラからヤウンデに変更
ベスト8決定戦と準々決勝の間に、アフリカ選手権特有の事件がまた起きた。それは準々決勝と準決勝のそれぞれ1試合の会場が経済の中心であるドゥアラから首都のヤウンデに変更となったのである。3位決定戦を含む準決勝以降の全試合はヤウンデで開催されることとなった。会場の変更はスタジアムの芝の状態を理由としているが、釈然としない。また、準々決勝のカメルーン戦はドゥアラでの開催に変更はないが、これは経済的な利益を優先したからとも勘繰られて仕方はない。
その準々決勝は週末に行われ、29日の土曜日にガンビア-カメルーン戦とブルキナファソ-チュニジア戦、日曜日の30日にモロッコ-エジプト戦とセネガル-赤道ギニア戦が予定されている。
■カール・トコ・エカンビの2得点でカメルーンが勝利
開催国カメルーンと旋風を起こしているガンビアの戦いは注目の一戦である。両チームは2017年のアフリカ選手権の予選で対戦しており、この時は2試合ともカメルーンが勝利したが、今大会のガンビアには勢いがある。カメルーンの期待はバンサン・アブバカールである。アフリカ選手権の通算得点は6となり、伝説のサミュエル・エトーを抜いた。一方のガンビアはイタリアリーグで活躍しているバロウやオマル・コリーも注目であるが、監督のトム・セントフィエットにも注目したい。ベルギー人であり、まだ四十代であるが、監督として21か国での経験がある。その中で最も長く監督を務めているのがこのガンビア代表である。
試合は攻めるカメルーンをガンビアが組織的な守備でしのぐという展開になった。前半のカメルーンはアブバカールがチャンスに決められず、押し気味に試合を進めながら無得点、ガンビアもシュートわずか1本におさえられた。
後半に入ってガンビアも積極的に攻めるようになったが、50分にカメルーンはカール・トコ・エカンビが先制点を決めた。さらにトコ・エカンビは57分にも追加点をあげ、今大会で5得点目となった。今大会ドゥアラでの最後の試合、さらには地元カメルーンのリードということでコロナ禍とはいえ、場内に歌声がこだました。
カメルーンが2-0と勝利、ガンビアの奇跡はここで終わりをつげ、カメルーンは開催国優勝を目指すのである。(続く)