第2960回 セネガル、初優勝を飾る(6) 4試合連続の延長戦で力尽きたエジプト、大会最優秀選手はサディオ・マネ

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■リバプールの二大スターのサディオ・マネとモハメド・サラー

 セネガル対エジプトというワールドカップ3次予選の前哨戦となった今回のアフリカ選手権決勝、アフリカ選手権での対戦は2006年大会の準決勝以来である。この時はエジプトが2-1と勝利している。この試合が注目を集めたのは、セネガルのサディオ・マネ、エジプトのモハメド・サラーというイングランドのリバプールの両スターが敵と味方に分かれて背番号10を付けて戦うからである。セネガルは選手全員が欧州のクラブに所属しているが、エジプトは大多数が国内のクラブ、欧州のクラブに所属しているのは4人だけである。そういう中で同じクラブに所属する選手が両チームにいることは珍しい。なお、リバプールからアフリカ選手権に出場しているのはこの2人に加え、ギニアの主将のナビー・ケイタであり、各チームの主力を集めているところはさすが欧州のビッグクラブである。
 セネガルは決勝に臨むにあたり、攻撃陣のメンバーを変えた。これまで起用してきたバンバ・ディアンに代えてイングランドのワトフォードに所属するイスマイル・サールを右サイドのウイングに入れ、左サイドのマネとともにプレミアリーグ勢でラストパスをゴール前に供給する。一方のエジプトは中2日という日程面だけではなく、負傷や出場停止の選手が重なり、苦しい布陣となる。

■マネのPKを防いだエジプトの第2GKのガバスキー

 試合は、予想通り、セネガルが立ち上がりから攻勢に出る。そして5分にはセネガルのサリウ・シスがペナルティエリア内でモハメド・アブデルモネムに倒されてしまう。セネガルにPKが与えられ、先制のチャンス、ペナルティスポットにボールを置いたのはマネである。守るエジプトのGKは正GKのモハメド・エル・シェナウィではなく、ガバスキー、しかしエル・シェナウィの負傷により試合終盤に出場したコートジボワール戦、準決勝の開催国カメルーン戦と連続してPK戦を制し、自信を持ったガバスキーはマネのシュートをパンチングで止める。セネガルが優位な前半であったが、終了間際にエジプトのサラーもセネガルのゴールを脅かすが、両チームともスコアレスで折り返す。

■エジプトは4戦連続の延長戦、セネガルは初めての延長戦

 後半も前半同様の展開となり、メンバー、コンディションに優るセネガルがエジプトのゴールを襲う。しかしそこに立ちはだかったのがエジプトGKのガバスキーである。勇敢に飛び出してファラオのごとくピラミッドを守る。両チームとも疲労のせいか、運動量が落ち、得点機会も前半ほど多くなく、特にエジプトは後半は枠内にシュートを飛ばすことができなかった。セネガルも得点を阻まれ、無得点のまま90分が終了する。エジプトは決勝トーナメントに入って4試合連続の延長戦となる。一方のセネガルは今大会で延長戦を戦うのは最初となる。
 実は過去12回のアフリカ選手権決勝のうち6回は延長戦となり、そのうち5試合は0-0での延長戦となり、今回もスコアレスでの延長戦である。2002年、セネガルが初めて決勝に進出したカメルーン戦も0-0のまま延長戦となった。
 延長戦に入ってもガバスキーは当たっており、交代出場してきたディアンが次々とシュートを放つが、ガバスキーがセーブする。結局、ガバスキーは120分間でセネガルのシュートを8回ストップした。

■最後にPKを成功させたマネ、セネガルを初優勝に導く

 アフリカ王者の王冠はPK戦に委ねられた。決勝トーナメントですでに2回PK戦を勝ち抜いたエジプトを有利と見るか、4試合連続での延長戦で疲労困憊していると見るか。PK戦はセネガルの主将カリドゥ・クリバリーの成功で始まる。後蹴のエジプトは2人目が枠の外で失敗。奮起したエジプトのガバスキーはセネガルの3人目をストップし、エジプトは3人目が成功、追い付いた。4人目はセネガルのバンバが成功させ、エジプトの4人目をセネガルのGKエドゥアール・マンディが止め、セネガルがリードする。セネガルの5人目は背番号10、マネである。マネは右足のシュートでネットを揺らす。4-2となった時点でセネガルの初優勝が決まり、大会最優秀選手にマネが選ばれたのである。(続く)

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