第3041回 パリサンジェルマン、2度目の日本ツアー(3) 3バックシステムを導入したクリストフ・ガルティエ監督

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ツアーの帯同選手25人を発表

 7月5日にクリストフ・ガルティエ新監督を迎えたパリサンジェルマン、8月のリーグ戦開幕に向けてチームを仕上げるためには日本ツアーは絶好の機会である。7月15日には日本遠征に参加する25人の選手を発表した。キリアン・ムバッペ、ネイマール、リオネル・メッシのMNMの3人をはじめ、主力メンバーが選ばれたが、意外な人選もあった。移籍候補と言われているアブドゥ・ディアロ、イドリッサ・グイエ、ティロ・ケイラーなどがメンバーに入った一方、レイバン・クルザワ、ユリアン・ドラクスラー、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、アンデル・エレーラがメンバーから外れた。
 また今季の新加入選手としてはポルトガルのポルトから加わったビティーニャ、RCランスへのレンタル移籍から戻ってきたアルノー・カリムエンド、下部組織から上がってきた17歳のウォーレン・ザイール・エメリである。ビティーニャが22歳、カリムエンドが20歳と若い選手ばかりであるが、それ以外の若手としてはすでに主力級の20歳のヌーノ・メンデス、21歳のエリック・ディナ・エバンベも日本行きとなった。ザイール・エメリ、カリムエンド、ディナ・エバンベと下部組織育ちの3人がトップチームの一員としてツアーに参加、そこでステップアップしたい。

■レオナルドに代わってスポーツディレクターに就任したルイス・カンポス

 今季、大型補強が行われていないのは、経営陣の方針変更がある。スター選手を集めてもそれに見合った成果を残していないことから、結果を残す堅実なチームを目指すことになった。その象徴がガルティエ監督の招聘であるが、それに先立って6月にはスポーツディレクターをレオナルドに代えて、モナコやリールで実績を残してきたポルトガル人のルイス・カンポスを招いた。カンポス自身はクラブの監督としての実績は少ないが、参謀としての高い評価を受けている。カンポスがガルティエ監督を招いたことは明白である。第1回の日本ツアーで対戦した鹿島から移籍してきたレオナルドが、第2回の日本ツアーの前に解任されるというのは皮肉な事象であるが、この数年のパリサンジェルマンの戦績を考えれば、ファンも納得である。

■3バックシステムで狙う欧州の頂点

 ガルティエ監督は、新シーズンは3バックシステムで臨むことを明言している。ガルティエ監督自身はリールやニースでは4バックシステムで好成績を残したが、カンポスの助言を受け入れ、3バックで臨む。昨年までのパリサンジェルマンは4バックシステムが中心であり、サイドはアクラフ・ハキミ、ヌーノ・メンデス、クルザワ、ケイラーから2人、中央はセルヒオ・ラモス、マルキーニョス、プレスネル・キンペンベから2人というメンバーを試合に応じて使い分けてきた。3バックとなれば、中盤のサイドの2人をどうするか、そして元々のメンバーが固定していない中盤をどのようなメンバーにするのか、この解決策を見出すのが日本ツアーの競技面における目的である。

■公開練習でお披露目した3バックシステム

 パリサンジェルマンは7月17日に日本に到着、多くのファンの歓迎を受け、翌日には東京の秩父宮ラグビー場で公開練習を行う。同日には日本代表が試合を国内で行ったが、有料であるにもかかわらず、日本代表の試合をはるかに上回る1万3000人の観衆が集まった。1時間30分の間に、フルコートを使って試合形式の練習も行われたが、主力組はセルヒオ・ラモス、マルキーニョス、キンペンベの3バックシステム、本来はストッパーを務める3人が並んだ。そして、ヌーノ・メンデス、ハキミという攻撃力のあるサイドプレーヤーが通常よりも高い位置に入る。
 パリサンジェルマンはフランスの他のクラブより遅く練習を再開しているが、リーグ開幕の前週にはフランスリーグとフランスカップの優勝チームの間で争われるチャンピオンズトロフィーに出場するため、他のチームよりも1週間早く試合を行うことになる。公開練習も貴重な機会となる。
 パリサンジェルマンは欧州の頂点への第一歩をこの公開練習で記し、1万3000人の観衆は歴史の証言者となるかもしれないのである。(続く)

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