第3043回 パリサンジェルマン、2度目の日本ツアー(5) メンバーを大幅に入れ替えた第2戦でも浦和レッズに完勝

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■日本で試合をしたことのあるスター選手たち

 日本ツアー最初の試合、満員の国立競技場で昨季のリーグチャンピオンの川崎フロンターレを2-1と下したパリサンジェルマン、フランスのリーグチャンピオンの意地を見せた。
 パリサンジェルマンの選手の中で日本での試合経験があるのはブラジル代表として6月に試合をしたばかりのネイマール、マルキーニョスは記憶に新しい。2016年のクラブワールドカップではレアル・マドリッド(スペイン)のメンバーとしてケイロル・ナバスとセルヒオ・ラモスが鹿島アントラーズなどと戦っている。そしてリオネル・メッシは3年前のバルセロナ(スペイン)の訪日メンバーには入っていなかったが、2015年にはクラブワールドカップでネイマールとともにバルセロナを優勝に導き、アルゼンチン代表として12年前に日本代表と対戦している。

■チャンピオンズトロフィーを控え、暑さと湿度に悩む選手たち

 しかし、ほとんどの選手にとって初めての日本での夏場の試合であり、この暑さと湿度の高さには多くの選手は困惑した。パリサンジェルマンは日本ツアーの後、7月31日にはイスラエルのテルアビブでチャンピオンズトロフィーをかけて、フランスカップの勝者のナントと対戦する。パリサンジェルマンは日本からいったんパリに戻ってからテルアビブには試合の前々日の29日に入る予定であったが、日本滞在を短くするか、日本から直接テルアビブに向かうことを検討するほどであった。

■ワールドカップで日本が対戦する3か国の代表選手がそろったパリサンジェルマン

 そして迎えた7月23日、第2戦の相手は熱狂的なファンを抱えることで知られる浦和レッズである。フランスにもマルセイユ、サンテチエンヌといったチームがあるが、パリサンジェルマンにとっては新たな試練となるであろう。そしてマルセイユのサイドDFとしてパリサンジェルマンを苦しめた酒井宏樹の存在は脅威である。
 第1戦は前半に主力メンバー、後半に控えメンバーを出場させたが、第2戦の浦和レッズ戦は逆に前半に控えメンバー、後半に主力メンバーを出場させた。
 パリサンジェルマンの布陣はGKにケイロル・ナバス、DFは右からティロ・ケイラー、ダニーロ・ペレイラ、アブドゥ・ディアロ、MFは低い位置に4人、右からエリック・ディナ・エビンベ、ウォーレン・ザイール・エメリ、マルコ・ベラッティ、フアン・ベルナト、高い位置のトップ下にパブロ・サラビアが入る。2トップは右にマウロ・イカルディ、左はキリアン・ムバッペとなる。川崎フロンターレ戦はイドリッサ・グイエが唯一のフル出場を果たしたが、第1戦では同ポジションで出番のなかったベラッティが第2戦では先発、キャプテンを任された。
 そして注目すべきはGKのナバスであろう。スペインのレアル・マドリッドから3年前に移籍し、昨年はイタリア代表のジャンルイジ・ドンナルンマが加わったことにより出番は減ったが、その活躍はパリサンジェルマンを支えた。古くはジョエル・バツ、ベルナール・ラマから脈々と続く「GKのパリサンジェルマン」の伝統を支える存在である。日本のファンの方にとっては今秋にカタールで行われるワールドカップのグループリーグで対戦するコスタリカ代表の大黒柱として要チェックであろう。この日の先発メンバーにはドイツ代表のケーラー、スペイン代表のサラビアとベルナトが名を連ねている。グループリーグで対戦する3か国の代表選手がそろっているというケースも珍しいであろう。

■控え選手主体の前半に試合を決めてしまったパリサンジェルマン

 立ち上がりから浦和レッズはパリサンジェルマンのミスに付け込んで、積極的に攻める。3分には松尾祐介があわや先制点という場面を作る。6分にはゴール前のピンチをナバスが防ぐ。第1戦同様なかなかテンポをつかめなかったパリサンジェルマンであったが、16分に浦和レッズはクリアミスからパリサンジェルマンのスローインで再開。ムバッペからイカルディにつなぎ、ゴール前に待ち受けていたのはサラビア、見事なハーフボレーで先制点を日本を代表するGKの西川周作から奪う。この先制点で浦和レッズは戦意を喪失したのか、その後は一方的な展開となった。35分にはムバッペがこのツアーでの初ゴールを決める。角度のないところからのシュートを決め、役者の違いを見せ、試合を決めた。
 後半は主力メンバーが投入された。浦和レッズもメンバー交代したが、完全に足が止まった状態となった。75分にはヌーノ・メンデスのシュートがポストに当たり、76分にはアルノー・カリムエンドがネイマールからのパスを決めて、2試合連続ゴールとなった。
 パリサンジェルマンは3-0と勝利して、ツアー最終戦を迎えるのである。(続く)

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