第3044回 パリサンジェルマン、2度目の日本ツアー(6) ゴールラッシュで有終の美を飾る

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■強行スケジュールの中でコンディションをあげたパリサンジェルマン

 日本ツアー最終戦は7月25日、ガンバ大阪とパナソニックスタジアム吹田で対戦する。浦和レッズ戦から中1日で大阪に移動して試合を行うという強行日程となった。選手たちはツアーの合間には記者会見、フランス大使館表敬、少年少女向けのサッカー教室、講道館訪問などのスケジュールをこなし、最後の試合となった。
 昨季の順位としては優勝の川崎フロンターレ、6位の浦和レッズ、13位のガンバ大阪という順番であるが、この順番はツアーの段階でも変わらず、川崎フロンターレが5位、浦和レッズが8位、ガンバ大阪が15位となっている。その順番を象徴するような結果となったが、この10日間でパリサンジェルマンの選手が日本の気候に慣れてコンディションをあげてきたことに加え、始動時期が遅かったチームがチーム力を短期間の中にあげたことが指摘できるであろう。ホームとアウエーであるならばホームが有利であるが、ツアーの場合は遠来のチームが試合を重ねるごとにチーム力をあげていくこともある。この夏のラグビーの欧州勢の南半球遠征がまさにそうであり、初戦はホームの南半球勢の前に屈したが、第2戦では欧州勢が南半球勢を倒している。

■第1戦と近いメンバーが先発出場

 パナソニックスタジアム吹田も38,251人の観衆を集め、同スタジアムの最多記録を更新した。試合前には大物政治家の吉村洋文知事もセレモニーに参加し、スタジアムは異様な雰囲気を醸し出した。
 第1戦と同じグレーのユニフォームのパリサンジェルマン、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは3バック、右からセルヒオ・ラモス、中央にマルキーニョス、左にプレスネル・キンペンベ、MFは右からアクラフ・ハキミ、マルコ・ベラッティ、ビティーニャ、ヌーノ・メンデス、高いトップ下にリオネル・メッシ、FWは2トップで右にパブロ・サラビア、左にネイマールというメンバー、主将はマルキーニョスが務める。
 第1戦と似たメンバーとなったが、キリアン・ムバッペがベンチスタートであること、そして、MFにゲイエではなく、第2戦で唯一フル出場したベラッティを起用している。今回のツアーの選出的な目的は3バックの定着と、中盤の軸となるメンバーの決定であろう。3バックについては最終ラインの3人だけではなく、サイドのMFのハキミ、ヌーノ・メンデス、エリック・ディナ・エビンベ、フアン・ベルナトが積極的にサイドを駆け上がった。ベラッティを中心とした中盤にクリストフ・ガルティエ監督は信頼を置いているのであろう。

■前半からゴールラッシュでリードを広げる

 試合は第2戦と似た展開となった。開始直後にガンバ大阪は攻め込み、CKのチャンスを得るが、シュートは枠を外れる。一方のパリサンジェルマンもメッシのシュートは東口順昭に阻まれるが、ここからパリサンジェルマンのペースとなる。パス、ドリブルと多彩な手段で攻撃、力量の差が明らかになる。しかし、ガンバ大阪は東口の好守でなかなか得点を許さない。ようやくパリサンジェルマンが28分に先制点をあげる。ガンバ大阪のパスミスを拾ったメッシがシュート、こぼれたところをサラビアが無人のゴールに入れる。30分にはネイマールがペナルティエリア内で三浦弦太に倒される。シミュレーションという見方もあったが、日本人の主審はペナルティを認め、ネイマール自身がPKを決める。一方、ガンバ大阪は34分に右サイドからの攻撃で黒川圭介が1点を返す。この1点でギアをあげたパリサンジェルマンは37分にヌーノ・メンデスが角度のないところから得点を決め、さらに39分にはネイマールからのパスを受けたメッシがゴールを決めて、4-1とする。

■MNMがそろって得点をあげ、ツアー最終戦を飾る

 パリサンジェルマンの攻撃に対して消耗してしまったガンバ大阪はハーフタイムで次々と選手を交代させるが、後半もネイマールの得点で始まる。メッシからパスを受けてGKも交わしてシュート、5-1とする。ガンバ大阪もゴール前のパス交換で山見大登がゴール、新人とは思えないプレーを見せる。しかし、最後に得点を決めたのは途中出場となったキリアン・ムバッペ、86分にペナルティエリア内で倒されて獲得したPKを自らが決めた。
 MNMが3人そろって得点をあげ、ツアー最終戦を6-2で飾ったのである。(この項、終わり)

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