第3230回 女子ワールドカップ開幕(4) 初戦はジャマイカとドロー
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ダブリンでアイルランドに快勝
新監督にエルベ・ルナールを迎え、4月の親善試合で連勝という幸先の良いスタートを切ったフランスであるが、メンバー発表後に負傷による離脱者が出て、経験の浅いメンバーが中心になって戦うことになった。
本番前のスパーリングマッチは2試合、ダブリンでアイルランドと対戦し、南半球に移動し、メルボルンで豪州と対戦する。6月末からクレールフォンテーヌで最終合宿を行い、最終日の4日には公開練習、翌5日にダブリンに移動し、6日にアイルランド戦を迎えた。
アイルランドとはこれまで10回対戦、9勝1分、総得点28、総失点2とフランスが圧倒している。力に差があることから最後の対戦は2012年にギャンガンで行われたワールドカップ予選、4-0とフランスが大勝しているが、ウジェニー・ルソメが2得点を決め、現在のチームで主将を務めるウェンディ・ルナールも出場している。
過去の対戦成績では圧倒しているフランスであるが、アイルランドが積極的な攻撃を仕掛け、序盤のフランスは苦戦した。しかし、25分を過ぎたあたりからフランスはリズムをつかむ。44分のカディディアトゥ・ディアニのシュートは枠から外れたが、前半のアディショナルタイムにフランスは2点を入れる。ルソメ46分にはゴール前の空中戦からマエル・ラクラが先制点を奪う。DFのラクラは代表初ゴールとなる。その直後の48分にもルソメが右足でグラウンダーのシュートを決めた。ルソメはこれで代表89点目となり、自身の持つ代表最多得点を更新する。
後半に入ってもフランスはリズムを失わず、61分にラクラが2点目を決めて、3-0と勝利したフランスは南半球に移動した。
■満員の観衆の前で豪州に敗れる
フランスは7月10日に豪州のメルボルンに到着し、14日にワールドカップ前最後のスパーリングマッチを行う。女子サッカーの人気のある豪州とあってチケットは前売り完売、メルボルンのマーベル競技場は50,629人の観衆が集まる。この試合の主審は日本の小泉朝香氏であったことから日本の皆様も関心をもってこの試合をご覧になったであろう。大観衆の声援を受けた豪州は世界ランキングは10位とフランスの5位よりは低いが、健闘し、後半に入った66分にマリー・ファウラーが決めたゴールが決勝点となる。フランスは革命記念日の7月14日をフェスティバルとすることができずに、本大会に臨むことになる。
■4回目のワールドカップとなるウジェニー・ルソメ
本大会の組み合わせについては前々回の本連載で紹介した通りであるが、フランスの初戦の相手は第3シードのジャマイカである。23日のシドニーの初戦に向けてフランスは合宿で入念な調整を行う。
4万人の観衆の集まったシドニー・フットボール・スタジアムのピッチに立ったフランスのメンバーはGKはポーリーヌ・ペイロー・マニャン、DFは4人で右からラクラ、ルナール、デルフィーヌ・カスカリーノ、サキナ・カルシャウイ、MFも4人で右からクララ・マテオ、グラス・ゲヨロ、サンディ・トレッティ、アメル・マジリ、FWは2トップで右にディアニ、左にルソメという布陣である。ルソメはこれで4大会連続でワールドカップに出場、ワールドカップ17試合目となり、ガエタン・ティネをかわして単独最多出場となった。
フランスとジャマイカはこれが初対戦であるが、ジャマイカは大会直前の親善試合でモロッコに勝利したものの、それまでは1分6敗と勝ちから見放されていた。フランスは点差をつけて勝利し、第2戦のブラジル戦に臨みたいところである。フランスは立ち上がりから優勢に試合を進め、ボールも陣地も支配する。しかしながらなかなかゴール前に生きたボールを供給することができない。ようやく25分を過ぎてゴール前に迫るようになったが、前半は枠内シュートが2本あっただけで無得点に終わる。
後半になってもフランスは優位に試合を進めるがゴールに迫れない。最低でも勝ち点3の欲しいフランスは76分にはトレッティ、ディアニがボールをつないでルソメにボールを供給したが、得点ならず。90分にはディアニのヘディングシュートはバーに嫌われる。
結局、フランスはまさかのスコアレスドローで初戦を終えたのである。(この項、終わり)